そして高校2年の1月。春子は学校に行けなくなった。


頭痛で休んだ次の日の朝6半。
“嫌”だった目覚ましの音、母親の怒鳴り声、照りつける朝日が“恐怖”へと変わった。

「起きなさい!」
いつもの母親の声。刻一刻と迫る時間。
冬の朝。氷点下の気温とは裏腹に、春子の額からは汗が滲み出る。

「ハァハァ__」
だんだんと荒くなっていく呼吸。
強い金縛りのような感覚。
母親の呼びかける声など全く耳に入らない。

彼女の手が濡れたとき、初めて自分が泣いてることに気がついた。

「ごめんなさい…。休ませて…」