「初めての経験だったけど、成功してよかった……」
仲間たちが戦っている時、高所からの着地に成功したレオは安心したように呟いていた。
スケルトンドラゴンの破壊をするために飛空用の鷲型人形を犠牲にする形になってしまったのは悲しいが、それで多くの王国兵を救うことができた。
そのまま自分も乗っていれば一緒に死んでいただろうが、もしも上空から落下した時のために用意しておいた策が成功した。
最初、風魔法を使っての着地も考えたが、魔法は精神状態が発動や威力に左右するので、地面へ向かって落下中まともな精神状態でいられるか不安だった。
そこで思いついたのが、レオの従魔であるエトーレが出した糸で作った丈夫な布を使って、傘のようにして落下速度を落とす方法を思いついた。
幾つかサンプルを作り、申し訳ないが危険なので木製人形たちに実験の協力をしてもらった。
何度も人形たちが海に落下するという結果になりながらも、完成品はできていた。
レオ自身が試すまでは至らなかったため、ぶっつけ本番の不安が残っていたが、上手くいってので心の底から安堵したというのが本音だ。
「レオポルド……、生きていたのか……」
スケルトンドラゴンと共に死滅したと思っていたレオが生きていたことにテスタは驚いた。
どうやら、いつの間にか上空で乗り物から離脱していたようだ。
それにしても、スケルトンワイバーンの乗り手を使い捨てにしたジェロニモとは違い、着地方法まで用意していたとは驚きだ。
「クオーレと言い、エトーレと言い、あいつには面白い魔物が寄ってくるもんだ……」
落下傘という着地方法の実験を見ていたため、参戦しているヴェントレ島の者たちはスケルトンドラゴンと共にレオが死滅したなんて思っていなかった。
それはガイオも同じで、このような結果はむしろ当然とすら思っていた。
しかし、改めて考えると、レオの従魔たちはレオを補助するのに適している。
闇猫のクオーレは、もしも戦闘などになった時に爪や牙を使って戦えるし、レオに危険が迫れば影移動で逃走することもできる。
蜘蛛のエトーレは、自分が直接戦うということはできないが、糸で足止めをしたり捕縛をしたりと援護できる。
2匹がサポートすることで、レオは安心して自分の知識と能力を如何なく発揮できている。
レオは特殊スキルだけの人間ではなく、従魔の協力あっての存在なのではないかと思えてきた。
最近では、ガイオもペットとして以外にも従魔の重要性を感じているほどだ。
エレナが羽カワウソのイラーリを従魔にするのを止めなかったのも、そういった思いがあったからだ。
ただ、イラーリは今の所大食いのペットという以外に役に立っていないので、魔物の種類は選んだ方が良いのではと思うところだ。
「生きていたのは驚きだが、だからと言って何ができる?」
「……何?」
「見ろ! あのスケルトンの数に対抗できると思っているのか?」
装着している落下傘を脱いでいるレオを見ているうちに、テスタは次第に冷静になっていった。
よく考えれば、レオが生きていようがいまいが、ここはもうすぐスケルトンたちによって破壊される。
それに巻き込まれるようにして、ここの砦にいる人間は滅ぼされるのだ。
さっきの闇猫がどこかに避難させたといっても、全員を遠くに運ぶことなど不可能。
王国の援軍到着前に終わらせることができるはずだ。
それをガイオに分からせるために、テスタは迫り来るスケルトン軍団を指差したのだった。
「お前はまだレオの全てを知らない」
「……?」
「あいつを人形だけだと思うなよ!」
「……何だと?」
テスタの言うように、スケルトンの大群をこのまま放置すれば、いくらガイオたちが強いといっても数の暴力によって殺されてしまうだろう。
しかし、ガイオは焦っていない。
テスタへの言葉の通り、レオがいるからだ。
「無駄話はここまでにして、続きを始めようか?」
「クッ!!」
一番危険な人物だと判断し、テスタの相手を請け負ったガイオ。
思った通りテスタの動きは速く、なかなか始末させてくれない。
体感としては、セバスティアーノと同等レベルの速度をしているように思える。
しかし、セバスティアーノと共に訓練をしてきたガイオは、その速度には慣れている。
現にここまでの戦いで、得物が大剣で隙ができそうなガイオが無傷なのに対し、テスタはガイオの大剣による攻撃が掠り、数か所から僅かに出血している状態だ。
仲間を呼ぼうにも、ガイオの仲間と交戦中と考えられるため、援護を期待できない。
戦闘継続を促すガイオに、自分一人でガイオの相手をしなくてはならないテスタは、歯噛みしつつ短剣を構えた。
「ハッ!!」
睨み合うように対峙した2人のうち、先に動いたのはテスタ。
これまでで初めて自分から攻撃をしてきた。
「っ!?」
短剣による攻撃を大剣で防いだガイオは、そのまま蹴りを食らわせようかと右足を踏み込む。
しかし、テスタの次の動きに嫌な気配を感じたガイオは、蹴りを中断してそのまま踏み込んだ足で横へと跳び退いた。
「チッ!!」
「危ない、危ない……」
先ほどまでガイオがいた場所へ、テスタの攻撃が通り抜ける。
不意打ちのような攻撃をしたというのに、咄嗟の判断で躱されたことにテスタは舌打ちをする。
横へ飛び退き躱したガイオは、腹の部分の服が切り裂かれたことに冷や汗を流した。
服の下に防刃ベストを着こんでいるといっても、絶対的なものではない。
動きの速い相手に大きな怪我をしては、動きが鈍って対応できなくなってしまう。
そういった意味でも、あのまま蹴りを放っていたら危ないところだった。
「……ベタに双剣か?」
何をしたのかをすぐに理解したガイオは、面倒くさそうに呟く。
これまで何もなかった左手にいつの間にか短剣を取りだし、それによってテスタはガイオの服を斬り裂いたのだ。
両手に短剣を持っての戦闘スタイル。
それがテスタの本来の姿のようだ。
「少しは楽しませてくれそうだな……」
「ぬかせっ!!」
本来の戦闘スタイルを出してきたテスタに、ガイオは若干楽しそうに呟く。
その余裕そうな表情にイラ立ちつつ、テスタはまたも攻めかかって行ったのだった。
「……さて、援軍が来るまであれを何とかしないとな……」
大爆発により、スケルトンドラゴンの破壊はなされた。
スケルトンドラゴンの存在に腰が引けていた者たちも、これで動かざるを得ない。
恐らく、伝令兵がそのことを後方に控える援軍に伝えに行ったはずだ。
到着までにスケルトンたちを止めておかないと、砦内に進入されてしまう。
なので、レオはその足止めをおこなうことにした。
「ハッ!!」
気合いの言葉と共に、向かって来るスケルトン軍団へ両手を広げる。
レオがやった行為は、パッと見だとそう説明するしかない。
「……何だ!? スケルトンがスケルトンを攻撃している……」
ガイオとの戦闘を続けていたテスタは、少しして異変に気付く。
こっちに向かってきているスケルトンのうち、数体が何故だか仲間割れをするかのように攻撃をしている。
どうしてこのようなことになっているかと考えていると、テスタは先程のガイオの言葉と、スケルトンに向けて手を動かしているレオのことが気になった。
「奴は何をしている!?」
「てめえで考えな!」
ガイオが自信ありげに言っていてことから、あの現象を起こしていることにレオが関係しているのだと思い至る。
しかし、何をしているのか分からないため、テスタは思わず語気を荒げてガイオへと尋ねる。
それに対し、ガイオは答えるつもりはなく。
動き回るテスタへ大剣での攻撃を放った。
「……まさか、奴が操っているのか?」
なんとなくではあるが、その可能性は頭に浮かんでいた。
しかし、そんなことをできるとは思えず選択肢から除外していたのだが、そう考えれば納得いく。
レオがジェロニモの動かすスケルトンを操っているのだと。
仲間たちが戦っている時、高所からの着地に成功したレオは安心したように呟いていた。
スケルトンドラゴンの破壊をするために飛空用の鷲型人形を犠牲にする形になってしまったのは悲しいが、それで多くの王国兵を救うことができた。
そのまま自分も乗っていれば一緒に死んでいただろうが、もしも上空から落下した時のために用意しておいた策が成功した。
最初、風魔法を使っての着地も考えたが、魔法は精神状態が発動や威力に左右するので、地面へ向かって落下中まともな精神状態でいられるか不安だった。
そこで思いついたのが、レオの従魔であるエトーレが出した糸で作った丈夫な布を使って、傘のようにして落下速度を落とす方法を思いついた。
幾つかサンプルを作り、申し訳ないが危険なので木製人形たちに実験の協力をしてもらった。
何度も人形たちが海に落下するという結果になりながらも、完成品はできていた。
レオ自身が試すまでは至らなかったため、ぶっつけ本番の不安が残っていたが、上手くいってので心の底から安堵したというのが本音だ。
「レオポルド……、生きていたのか……」
スケルトンドラゴンと共に死滅したと思っていたレオが生きていたことにテスタは驚いた。
どうやら、いつの間にか上空で乗り物から離脱していたようだ。
それにしても、スケルトンワイバーンの乗り手を使い捨てにしたジェロニモとは違い、着地方法まで用意していたとは驚きだ。
「クオーレと言い、エトーレと言い、あいつには面白い魔物が寄ってくるもんだ……」
落下傘という着地方法の実験を見ていたため、参戦しているヴェントレ島の者たちはスケルトンドラゴンと共にレオが死滅したなんて思っていなかった。
それはガイオも同じで、このような結果はむしろ当然とすら思っていた。
しかし、改めて考えると、レオの従魔たちはレオを補助するのに適している。
闇猫のクオーレは、もしも戦闘などになった時に爪や牙を使って戦えるし、レオに危険が迫れば影移動で逃走することもできる。
蜘蛛のエトーレは、自分が直接戦うということはできないが、糸で足止めをしたり捕縛をしたりと援護できる。
2匹がサポートすることで、レオは安心して自分の知識と能力を如何なく発揮できている。
レオは特殊スキルだけの人間ではなく、従魔の協力あっての存在なのではないかと思えてきた。
最近では、ガイオもペットとして以外にも従魔の重要性を感じているほどだ。
エレナが羽カワウソのイラーリを従魔にするのを止めなかったのも、そういった思いがあったからだ。
ただ、イラーリは今の所大食いのペットという以外に役に立っていないので、魔物の種類は選んだ方が良いのではと思うところだ。
「生きていたのは驚きだが、だからと言って何ができる?」
「……何?」
「見ろ! あのスケルトンの数に対抗できると思っているのか?」
装着している落下傘を脱いでいるレオを見ているうちに、テスタは次第に冷静になっていった。
よく考えれば、レオが生きていようがいまいが、ここはもうすぐスケルトンたちによって破壊される。
それに巻き込まれるようにして、ここの砦にいる人間は滅ぼされるのだ。
さっきの闇猫がどこかに避難させたといっても、全員を遠くに運ぶことなど不可能。
王国の援軍到着前に終わらせることができるはずだ。
それをガイオに分からせるために、テスタは迫り来るスケルトン軍団を指差したのだった。
「お前はまだレオの全てを知らない」
「……?」
「あいつを人形だけだと思うなよ!」
「……何だと?」
テスタの言うように、スケルトンの大群をこのまま放置すれば、いくらガイオたちが強いといっても数の暴力によって殺されてしまうだろう。
しかし、ガイオは焦っていない。
テスタへの言葉の通り、レオがいるからだ。
「無駄話はここまでにして、続きを始めようか?」
「クッ!!」
一番危険な人物だと判断し、テスタの相手を請け負ったガイオ。
思った通りテスタの動きは速く、なかなか始末させてくれない。
体感としては、セバスティアーノと同等レベルの速度をしているように思える。
しかし、セバスティアーノと共に訓練をしてきたガイオは、その速度には慣れている。
現にここまでの戦いで、得物が大剣で隙ができそうなガイオが無傷なのに対し、テスタはガイオの大剣による攻撃が掠り、数か所から僅かに出血している状態だ。
仲間を呼ぼうにも、ガイオの仲間と交戦中と考えられるため、援護を期待できない。
戦闘継続を促すガイオに、自分一人でガイオの相手をしなくてはならないテスタは、歯噛みしつつ短剣を構えた。
「ハッ!!」
睨み合うように対峙した2人のうち、先に動いたのはテスタ。
これまでで初めて自分から攻撃をしてきた。
「っ!?」
短剣による攻撃を大剣で防いだガイオは、そのまま蹴りを食らわせようかと右足を踏み込む。
しかし、テスタの次の動きに嫌な気配を感じたガイオは、蹴りを中断してそのまま踏み込んだ足で横へと跳び退いた。
「チッ!!」
「危ない、危ない……」
先ほどまでガイオがいた場所へ、テスタの攻撃が通り抜ける。
不意打ちのような攻撃をしたというのに、咄嗟の判断で躱されたことにテスタは舌打ちをする。
横へ飛び退き躱したガイオは、腹の部分の服が切り裂かれたことに冷や汗を流した。
服の下に防刃ベストを着こんでいるといっても、絶対的なものではない。
動きの速い相手に大きな怪我をしては、動きが鈍って対応できなくなってしまう。
そういった意味でも、あのまま蹴りを放っていたら危ないところだった。
「……ベタに双剣か?」
何をしたのかをすぐに理解したガイオは、面倒くさそうに呟く。
これまで何もなかった左手にいつの間にか短剣を取りだし、それによってテスタはガイオの服を斬り裂いたのだ。
両手に短剣を持っての戦闘スタイル。
それがテスタの本来の姿のようだ。
「少しは楽しませてくれそうだな……」
「ぬかせっ!!」
本来の戦闘スタイルを出してきたテスタに、ガイオは若干楽しそうに呟く。
その余裕そうな表情にイラ立ちつつ、テスタはまたも攻めかかって行ったのだった。
「……さて、援軍が来るまであれを何とかしないとな……」
大爆発により、スケルトンドラゴンの破壊はなされた。
スケルトンドラゴンの存在に腰が引けていた者たちも、これで動かざるを得ない。
恐らく、伝令兵がそのことを後方に控える援軍に伝えに行ったはずだ。
到着までにスケルトンたちを止めておかないと、砦内に進入されてしまう。
なので、レオはその足止めをおこなうことにした。
「ハッ!!」
気合いの言葉と共に、向かって来るスケルトン軍団へ両手を広げる。
レオがやった行為は、パッと見だとそう説明するしかない。
「……何だ!? スケルトンがスケルトンを攻撃している……」
ガイオとの戦闘を続けていたテスタは、少しして異変に気付く。
こっちに向かってきているスケルトンのうち、数体が何故だか仲間割れをするかのように攻撃をしている。
どうしてこのようなことになっているかと考えていると、テスタは先程のガイオの言葉と、スケルトンに向けて手を動かしているレオのことが気になった。
「奴は何をしている!?」
「てめえで考えな!」
ガイオが自信ありげに言っていてことから、あの現象を起こしていることにレオが関係しているのだと思い至る。
しかし、何をしているのか分からないため、テスタは思わず語気を荒げてガイオへと尋ねる。
それに対し、ガイオは答えるつもりはなく。
動き回るテスタへ大剣での攻撃を放った。
「……まさか、奴が操っているのか?」
なんとなくではあるが、その可能性は頭に浮かんでいた。
しかし、そんなことをできるとは思えず選択肢から除外していたのだが、そう考えれば納得いく。
レオがジェロニモの動かすスケルトンを操っているのだと。