なぜこんなことになってしまったのだろうか。
 ただ、彼女を守ろうとしただけなのに。
「美麗......」
 俺の同級生。
 俺の......初めて愛した人。
 絶望していた俺を救ってくれた、唯一の人。
 俺が強ければ、こんなことにならなくて済んだのか......?
「美麗。愛してる」
 本当ならば彼女に直接伝えるべき言葉を呟いた。
 そして、少しずつ近づいてくるサイレンの音を聞きながら、俺は彼女に捧げた十年間を思い出していた。