「これ貰ったんだけどさ、静香も誘って行かない?日付が明後日なんだけど」

彼は三枚並べたチケットの一枚を私の方へ差し出しながら言った。
私はやっぱり、静香と裕太くんを繋ぐだけの人でしかないのだろうか。

「いいよ。静香には話したの?」

ただのキューピット役として選ばれただけかもしれないというのに、私は簡単に了承する。
好きな人の私服が見られるかもしれないチャンス、逃すわけがない。

「いや、今から行くところ」

彼の言葉に、私を最初に誘ってくれたんだという事実に少し心躍る。
それがたとえ繋ぎだろうが仲介役だろうが、実際それに行けるかどうか分からないから、誘われただけで嬉しい。
……うん、嬉しいよ。
自分に暗示をかけているだけかもしれないけど、別にいいんだ。
「ありがとう」と嬉しそうに言う、彼の笑顔が見れたから。