もし今日学んだ内容がテストに出ても困らないために、先生の口からポロリと零れた豆知識をノートの片隅にメモ書きしたり、白以外の文字にはマーカーを引いたりと工夫するのだ。
それを明日の私が理解出来るのかどうかは別だけど。

ノートを二回机に軽く落として、何となく満足感を得たあと、私は前髪を崩しながら机につっ伏す。
好きな人はいるけど、ずっと自分の中で今日一番可愛い私でいると疲れてしまう。
休憩時間は休憩したいのだ。

「朝倉ー……寝てる?」

もちろん完全なる睡眠体制では無いから、好きな人に話しかけられたら喜んで身体を起こす。
手櫛で軽く自己満足程度に整えながら彼に笑顔を向ける。

「どうしたの?」

私の顔を見た彼は、水族館のチケットを私の前に出して口を開いた。