鏡に映る私は、いつも変わらない。
強いて言うなら、昨日と髪型が違うとか、ちょっと顔が浮腫んでいるとか、そんなことくらい。

「今日も頑張れ、私」

私は今日も鏡に手を置いて、そこに映る自分に向かって声をかけ、笑顔を向ける。

傍にあったコテで怒られない程度に髪を巻いて、鏡の前でくるんと一周。
うん、いい感じ。

「いってきまーす！」

お母さんが作ってくれた一段のお弁当を鞄に詰めて軽めの足取りで通学路を歩く。
コツコツと、まるでパンプスを履いているかのような革靴の音が小さく耳に届く。

今日はいい天気だ。
夏の暑ささえ除けば、青い空に真っ白な雲がふわふわと浮かぶ。
それが更に私の気分を上げた。