「目黒ー?大丈夫か?体調悪いのか?」
「……」
いつのまにか僕は寝ていて、目を開けた時、頬を一筋の雫が伝った。授業はもう終わったみたいで、もう放課後がやってくる。
僕は彼女と顔を合わせるのが気まずくて。体調不良を理由に、部活を休んだ。

                      ***

…やっぱり、那月くんは来ないか。
「目黒くんは?」
「あー、今日は部活休むみたいですよー」
顧問の先生が訊いてきたので私はそう返す。私、やっぱりお昼休みに何か言っちゃいけないこと言っちゃったのかな…?
「白石さん、何描くか決まった?」
「いえ、それがまだ…。目黒くんと話してて。相談した時、目黒くんは風景画って言ってましたけど…。…私、彼に人物画も描いたら?って勧めたんです。そしたら『君に僕の気持ちはわからない』みたいなこと言ってどっか言っちゃって…。先生何か知ってますか?」
私は先生に訊いてみた。先生なら何か知っていることもあるかもしれない。
「…白石さん、この絵見たことない?」
先生は教科書に載る一枚の風景画を指し示す。確かにどこかで見たことのある絵だ。
「はい、もしかしたら中学の教科書にも…」
「これね、描いたの、目黒くんなんだよ」
私は一瞬言葉がわからなくなって、それを理解した時は驚きのあまり持っていた絵の具の筆を落としてしまった。
「な、なんで那月くんの絵が?」
「彼はね___」