俺は冴えない高校2年生。運動も勉強もいまいち。
高校デビューを果たす予定だったがコロナで撃沈。
あっという間に月日は流れ二学期に入ろうとしている。「おい!翼、何ボーッとしてんだよ笑まさかまた母ちゃんに叱られたか笑」 「はっ違うし」急いで返したからか余計わざとらしくなってしまった。
「はい、そこ静かに。今日から転校生がこのクラスに入ります。」その瞬間担任の話聞いてたかと言わんばかりにクラスがざわついた。なんでそんなのに興奮するのか俺にはさっぱり分からなかった。
「それではどうぞ。」その声と共にドアがガラッと開いた。その瞬間気のせいか花の匂いがした。
「花宮 一花です。東京から来ました。今日から
お願いします。」そこに立っていたのはいかにも真面目そうな女子だった。まさに俺とは真反対。女子と関わることがほぼない俺には無関係なことだと思っていた。担任の言葉を聞くまでは。「席は涼風の隣な。とりあえず今日学校案内してもらえ。」 「はっ、先生俺許可してませんよ!」 「だって、聞いてないもん」
クラスがどっと笑いに溢れた。俺は頭にきたが、渋々するはめになった。「よろしく。俺、涼風翼。花宮さんだったっけ?」話を聞いてなかったせいで名前をしっかり把握できてない。失礼きまわりないが名前を間違えるよりはマシだろうと自分を慰めた。「うん。花宮一花!よろしくね!涼風くん。」軽く自己紹介をして学校案内を始めた。
一通り紹介をし終えて担任のとこまで行くことにした。だが、熱血な部活指導の担任は職員室にいなかった。事務の先生が呼んでくれた際に、数分で来るという。職員室を出てしばらく沈黙が流れる。気まずくなった俺が先に口を開いた。「なんでこんな田舎の学校に引っ越してきたのか?」単純に気になった質問をして時間を稼ごう。そう考えた。「あ〜、色々あってね、笑」その言葉をかき消すかのように担任の大きい声が聞こえた。俺はその言葉が気になりすぎてその日はあまり寝れなかった。

どうしよう。東京から転校してきた初日。
私、花宮 一花は緊張に溢れている。ついに自己紹介の時間がやってきた。「花宮 一花です。東京から来ました。今日からお願いします。」本当はもっと明るく自己紹介する予定だったが緊張のせいか、真面目な挨拶になってしまった。友達できるかな、?
隣の席は涼風くんという男の子だった。怖くはなさそうで安心した。ボッーとしていると学校案内の話に変わっていた。隣の席の子がしてくれるらしい。大丈夫かな、?不安でいっぱいだ。ついに放課後になってしまった。涼風くんが先に自己紹介をしてくれて続けて私も自己紹介をした。色々な部屋を回って大体の部屋を把握でき、職員室に行くことになった。担任の先生が部活動に行ってるためまだ居ないらしい。どうしよう。気まずい空気が流れる。私が口を開く前に、その前に涼風くんが口を開いた。
「なんでこんな田舎の学校に引っ越してきたのか?」 単純な質問だったが私は答えることができなかった。「あ〜色々あってね、笑」その日は緊張疲れか、早めに寝ることにした。

次の日。
子鳥のさえずりで朝に気づいた。寝てないせいか、目が腫れている。とりあえず学校に向かおう。
校門で花宮さんと出会った。難しそうな本を読んでいる。俺に気づいたのかはにかむように笑っている。「おはよう涼風くん!昨日はありがとうね。」
「全然だよ。それより委員会は決めた?今日委員会の集まりがあるんだ。俺図書委員入ってるんだけど楽だからおすすめってことだけ伝えとく。」普通に人手が欲しいからという最悪な理由で誘ってしまう俺。後から少し後悔した。図書館にいつも通り行くと人気のない部屋にぽつんと花宮さんがいた。
「涼風くん!図書委員って2人だけ、?」流石にびっくりするよな。「うん。なんかごめんな。仕事とかないからとりあえず話そうぜ!」それから俺たちはだいぶ仲良くなった。毎日放課後集まり少し仕事をして花宮さんと連絡先を交換したり、おすすめの本を紹介してもらったり、東京の話をしてもらったり。担任の愚痴を聞いてもらったり。
毎日の楽しみにもなっていた。

次の日。
今日は昨日早く寝たため、スッキリ目覚められた。
学校は徒歩5分で着く。校門で涼風くんとばったり会った。「おはよう!涼風くん・・・
そこから昨日のお礼をいって委員会まで紹介してくれた。涼風くん、いい人でよかった。図書委員入ってみよう!放課後、図書館に行ったが誰もいない。ここであってるよね?疑問に思いながらも涼風くんが来てお話をした。まさか2人だけとは思わなかったが別に悪い気はしなかった。そこから沢山お話をした。昨日会ったのにとても話しやすくて、連絡先まで交換した。男の子の友達、第1号にも勝手に認定した。そんな日が続き、私の楽しみになっていた。あー、こんな日々が続くといいな、心の中でずっと思っている。次第に涼風くんを意識してしまうようになってしまった。でも私はダメなんだ、。

ある日。「俺さ、好きな人できたかも。」
優馬が昼休みに話し出した。俺は別に驚きもせず話を聞いた。「花宮さんなんだけど。メガネの下見たことあるか?放課後にさ、なんかメイク直しててメガネ外してたんだよ。マジで可愛かったんだよな。」少し胸がちくりとした気がした。予想してない言葉にびっくりした。優馬はいかにも陽キャ系がタイプだ。真面目な花宮さんを好きになるとは思いもしなかった。優馬はそれから話を続けた。簡単にいうと俺に手伝って欲しいというものだった。少しめんどくさい気がしたがラーメン奢ると言う言葉に負けてしまった。その日からとにかく優馬のことを花宮さんに話した。でもあまり興味を示してくれない。
1ヶ月後の昼休み。「俺、もう告白するわ!アピールしても無理なら気持ち伝えるしかないだろ!」
急な男気を見せられても困るだろうと内心思いながら頑張れよと応援した。その日の夜。一通のLINEが来た。「俺、断られた。好きな人がいるらしいわ笑 でもさ、真面目な花宮さんと俺あってないよな笑」俺はすぐ今更気づいたのか笑と送り返した。
まあそうはいってるが優馬は落ち込んでいる。
明日ジュースでも奢ってあげようと思って寝落ちしてしまった。

次の日いつものように図書館に行くと花宮さんが進路についての本を読んでいた。なぜか悲しげな空気が走っている気がしたが、俺は明るく声をかけた。「花宮さん!進路の本?流石花宮さん。真面目だな笑」 「うん。そうそう笑」
焦っている様子だったが気にせず話を続けた。
「俺、こう見えて物語書くの好きなんだ。でもさ、親にも反対されてて笑無理ってわかってるけど笑」
少しの間沈黙が流れた。俺はやっちまったと思いながら気にしないでと言いかけた前に花宮さんが先に口を開いた。「無理じゃないよ。無理なことなんてないんだよ。だから自分の気持ちが消えるまで突き進んで、諦めないで。」花宮さんの言葉には力強い熱があった気がした。俺は強く頷いた。
次の日の帰り道。いつものように図書室の鍵を返して花宮さんと一緒に帰る。「げっ、雨降ってんじゃん。」図書室は防音なため全く音が聞こえない。
折り畳み傘があったはずだと思いリュックから取り出す。「花宮さん、傘もってきた?」 「忘れちゃった笑先帰って!私止んでから帰る。」流石の俺もそんなことは出来ない。 「俺、やっぱ傘いらないわ。花宮さん使って!」俺は変な嘘をついて花宮さんの言葉が聞こえる前に立ち去った。俺どうしちゃったんだろう。鼓動が早くなる。胸が熱い。この時はまだ気づいてなかった。


あっという間に月日は流れ冬休みがやってきた。
といっても、委員会の仕事があるためいつも通り朝は学校に通う。「おはよう!花宮さん。」
「おはよう!涼風くん。」ここのところ、花宮さんの笑顔を見るとなぜか胸が熱くなる。
今日集まったのは、文化祭の話だ。コロナ禍だから、校内だけで出店なしでやるそうだ。
委員会で何かしないといけないらしく、俺たちはその企画案を考える。「うーん、花宮さん本好きじゃん?だからおすすめ本コーナーとか?無難に笑。」
図書館には誰もこないだろうと思い簡単に済む案を出す。「それもいいと思うんだけど、私涼風くんの小説読んでみたいな笑だから、涼風くんの原稿もそこに並べて欲しいんだけど、、どうかな、?」
俺は予想外すぎる言葉にびっくりした。俺は頭を悩ませた。他の人に読んでもらう。恥ずかしいが、他の人の意見を聞けるいい機会だ。俺は小さく頷いた。文化祭当日。今日は文化祭の買い出しに行くことにした。画用紙とカラーペンを司書の先生に買ってくるよう頼まれたため、100円ショップに行く。
花宮さんと二手に別れて探すことになった。