放課後になり、心七と部活に行くために音楽室に行く。今日は何も頼まれたりしなくてよかったな。部活でも何もないといいけど。
「あ、そういえば笑美と上橋っていい感じだよね。今日も話してたし。笑美が男子と喋ってて自然な顔なの、実は上橋だけだよね。」
 突然出てきた上橋くんの名前に、ドキッとする。しかもいい感じだなんて。顔が熱くなっていくのが分かる。
「そんなことないよ。上橋くんに失礼だよ。私といい感じだなんて思われたくないと思う。上橋くんは誰にでも優しくて爽やかだもん。」
「まあ、笑美の自己肯定感が低いのは元からだから今日は突っ込まないでおくけど。でも笑美、上橋のこと気になってるでしょ?今も褒めてたし。笑美が同級生の男子褒めるなんて珍しいし、分かりやすいなぁ。」
「えっと……。気になっては、いる、かも?」
 私は心七になら言ってもいいかと思い、緊張しながらそう言う。更に顔が熱くなる。心臓の音もドッドッドッと早くなる。心七は少し意外そうな顔をした後、ニヤッとする。
「笑美、かーわいい。照れちゃってー。もう部室着いちゃったから、話の続きは下校中に!」
 心七はそう言って、部室に去っていく。いくら心七相手とは言え、緊張したな。これで心七に私の気持ちが知られてしまった。それにしても心七、恋バナする時はあんな感じなんだ。今までそう言う話をしてこなかったからか、初めて知った。心七の意外な一面を知れてよかったな。