「上橋くん、呼ばれたよ。」 私は上橋くんの席に向かい、声をかける。だが、反応がない。どうやら読書に没頭して、聞こえていないようだ。仕方ない。肩をトントンするか。 トントン 「わぁ!びっくりしたー。ごめん、気づかなくて。青山、ありがとう。じゃ、行ってくる。」 上橋くんは爽やかにそう言って、廊下に向かって行った。返事、出来なかったな。せっかく丁寧にお礼言ってくれたのに、「大丈夫だよ。」くらい言えばよかった。