1番の相川蓮くんのテスト返しが終わり、相川くんに声をかけられる。
「青山さん廊下行っていいって先生が。」
 私は「了解。」と言い、廊下へ行く。姫野先生は穏やかな表情だ。その顔を見ると安心した。テストの結果よかったのかな。
「青山さん、いい調子です。特に数学と理科がよく出来ていました。これからもこの調子で頑張って下さいね。」
 個表を手渡され、そう言われる。
「ありがとうございます。」
「何か言いたいことあったらいつでも言ってくださいね。」
 姫野先生はいつもテスト返しの時こうして面談してくれる。私はなかなか相談できないけど、そう言ってもらえると「ああ、先生は寄り添っくれてる。」と思う。
 でも結局言えなくて、「今は大丈夫です。」と答えた。ああ、また言えなかった。今、大丈夫じゃないのに。今相談しなかったら絶対相談する機会ない。でも言えない。
「そう?また言いたくなったらすぐ言ってね。部活の時でもいいし。ふふ、こういう時に合唱部の顧問だといいわよね。青山さんは代表委員だし、同じ部活だと何かと便利だし。」
「ありがとうございます。」
 やっぱり姫野先生はいい先生だな。担任も顧問も姫野先生でよかった。
「じゃあ次3番の上橋くんに声かけてくれる?」
「分かりました。」