「テッテレー!今日撮った写真だよ。見て見てー。」
美空が手に持っていたカメラを手渡してくれる。今日も空の写真を撮ったようだ。
「綺麗に撮れてるね。私は特にこの夕日の写真が好きだな。なんか心があったまる。」
そう言って美空に見せた写真は、家の近くの公園から撮ったと思われる夕焼けの写真。他にも、青い空の写真や、公園の遊具と大きな雲のある空を写した写真がある。どれも美空の優しさや天真爛漫さが現れた素敵な写真だ。
「えへへー。じゃあ今日の写真はこれにする!」
「いいじゃんいいじゃん。」
今日の写真というのは、美空の写真コレクションだ。美空は毎日一枚(いい写真がたくさんで選べない時は何枚か)ずつ、アルバムに入れている。カメラを3年生の誕生日にもらってから毎日欠かさずやっている。もう一年くらい経つんじゃないだろうか。
「では失礼しましたー。写真選んでくれてありがとね。」
美空はそう言い残して部屋を出て行く。私は美空のカメラのような趣味や特技はない。
歌は好きで、部活も合唱部に入っているが、心七もそれは同じ。しかも、比べることじゃないとは思うが、心七の方が圧倒的に上手い。次元が違いすぎてあまり比べる対象にはならないが、自分の特技を考えると、ついつい比べてしまった。
私には何があるんだろう。いつか胸を張って生きられる時が来るのかな。