私が話し終えると、お母さんを見た。
 え、泣いてる……。
「そう、だったんだ……。ごめんね、気付けなくて。辛かったよね。本当にごめ」
 私はお母さんが言い切る前に、「ううん、謝らないで。」と話しかけた。
「私が言わなかったんだから、お母さんはなんにも悪くないよ。謝ってほしくて言ったわけじゃないの。ただ聞いてほしかっただけ。だから聞いてくれてありがとう。」
 お母さんは泣きながら、私をぎゅっと抱きしめてくれた。そして、ゆっくり、優しく、私の背中を撫でてくれる。小さい頃に戻ったような気分になり、声をあげて泣いてしまった。
「笑美はいい子。優しい子だよ。自分を責めなくていいんだよ。」
「私、最低だもん。いい子でも優しい子でもないもん。心七、手伝ってくれるのに、私ひどいこと考えてる。」
「お母さんは笑美がいい子じゃなくても、優しくなくても大好きだよ。でも、笑美が考えてること、そんなにひどいことじゃないよ。私だったらもーっとひどいこと考えちゃうよ。だから最低なんかじゃないよ。」
 お母さんの言葉に、涙が止まらない。お母さん、絶対私よりひどいことなんて考えないじゃん。優しすぎる。こんな私を大好きって言ってくれて。
 泣き止みたいのに、なかなか涙が止まらない。
「学校、休む?別に、お母さん無理して学校行かなくていいと思うよ。」
「ううん、来週期末テストあるから行く。テスト終わったら、休みたいかもしれない。そしたら休んでもいい?」
 うん、もちろん。と、お母さんは言ってくれる。私、恵まれてるな。お母さんから学校行かなくていいって言ってくれる家なんて、ほとんどないんじゃないかな。お父さんも、美空も優しくて明るくておもしろいし。