気がつけば放課後、私が夢の中の彼に会いに行く時にはいつも、隣の席に和真がいるようになった。
なんでだろうって思っていたけれど、その疑問は解決した。保健室の先生に話しかけられた時に。
「いつも放課後、三年二組の教室で寝ているでしょう」
と。
通りすがりに見たとか、そんな感じかなって思っていたけれど、違った。
「男の子が夢に出てくるでしょ?」
って言ってきたから。
「えっ? なんで知っているんですか?」
和真が彼について先生に質問した事とか、話していた内容を教えてくれた。
夢の中で会っていた彼は、私達と同じ歳の時に亡くなった、私達が今いる教室で過ごしていた生徒さんだった。学校の事が大好きだった事や、いつも調子が悪くて保健室にいる時に「授業を受けたい」と言っていた事や、教卓の中に彼が大切にしていたシロクマも貼ってあること……。彼の話を色々聞いた。
「私に質問してきた彼、あなたがあの世に連れていかれちゃうんじゃないかって、物凄く心配していたわよ」
――そっか。和真は私の事を心配してくれて、いつも眠る私を見ていてくれていたんだ。
確認してみると、教卓の中には確かにガムテープが貼ってあった。
ガムテープに触れた。
もしも、彼が夢に現れてくれる原因がこれだとしたら、これを剥がして別の場所にやったりしたら、もう彼が夢の中に現れてくれなくなるって事?
そうしたら、もう彼には会えなくなるし、彼は大好きな教室にいることが出来なくなる。
そして、和真と一緒にいられる時間が少なくなっちゃう。
そっと、ガムテープから手を離した。
目覚めても、机に顔を伏せて眠ったふりをしたまま、和真の気配を感じていた。
そっとバレないように、薄目で彼を見た。彼はこっちを見ている事が多いから、起きている事がバレてしまいそうな時もあった。
いつの間にか和真が横の机で一緒に眠っていた時もあって、彼が起きるまでずっと見つめていたりもした。
彼は普段キリッとしていてカッコイイ。
でも寝顔はうちにいる猫みたいで、可愛かった。
元々私は和真に想いを寄せていたのかな? 他の女子と物凄く親しげに話していると少しムッとしたし、この教室で一緒にいられるこの放課後の時間が好きだし。雨が降って困っていた時も和真が濡れてしまうのに私に傘を貸してくれたりして優しいし……。
考えれば考えるほど、夢の中の彼よりも、和真の事で頭がいっぱいになっていく。
寝顔が愛おしく思えてくる。
胸が高鳴る。
最近まで夢の中の彼が好きなのかもとか思っていた。
なんだろう。夢の中の彼に対しての気持ちと、和真への気持ちがなんか違う。
――これが本当の、恋?
私は頬杖つきながら寝ている彼を見つめ、声をひとつも出さず、口だけを動かした。丁寧に。
す・き・だ
って。
なんでだろうって思っていたけれど、その疑問は解決した。保健室の先生に話しかけられた時に。
「いつも放課後、三年二組の教室で寝ているでしょう」
と。
通りすがりに見たとか、そんな感じかなって思っていたけれど、違った。
「男の子が夢に出てくるでしょ?」
って言ってきたから。
「えっ? なんで知っているんですか?」
和真が彼について先生に質問した事とか、話していた内容を教えてくれた。
夢の中で会っていた彼は、私達と同じ歳の時に亡くなった、私達が今いる教室で過ごしていた生徒さんだった。学校の事が大好きだった事や、いつも調子が悪くて保健室にいる時に「授業を受けたい」と言っていた事や、教卓の中に彼が大切にしていたシロクマも貼ってあること……。彼の話を色々聞いた。
「私に質問してきた彼、あなたがあの世に連れていかれちゃうんじゃないかって、物凄く心配していたわよ」
――そっか。和真は私の事を心配してくれて、いつも眠る私を見ていてくれていたんだ。
確認してみると、教卓の中には確かにガムテープが貼ってあった。
ガムテープに触れた。
もしも、彼が夢に現れてくれる原因がこれだとしたら、これを剥がして別の場所にやったりしたら、もう彼が夢の中に現れてくれなくなるって事?
そうしたら、もう彼には会えなくなるし、彼は大好きな教室にいることが出来なくなる。
そして、和真と一緒にいられる時間が少なくなっちゃう。
そっと、ガムテープから手を離した。
目覚めても、机に顔を伏せて眠ったふりをしたまま、和真の気配を感じていた。
そっとバレないように、薄目で彼を見た。彼はこっちを見ている事が多いから、起きている事がバレてしまいそうな時もあった。
いつの間にか和真が横の机で一緒に眠っていた時もあって、彼が起きるまでずっと見つめていたりもした。
彼は普段キリッとしていてカッコイイ。
でも寝顔はうちにいる猫みたいで、可愛かった。
元々私は和真に想いを寄せていたのかな? 他の女子と物凄く親しげに話していると少しムッとしたし、この教室で一緒にいられるこの放課後の時間が好きだし。雨が降って困っていた時も和真が濡れてしまうのに私に傘を貸してくれたりして優しいし……。
考えれば考えるほど、夢の中の彼よりも、和真の事で頭がいっぱいになっていく。
寝顔が愛おしく思えてくる。
胸が高鳴る。
最近まで夢の中の彼が好きなのかもとか思っていた。
なんだろう。夢の中の彼に対しての気持ちと、和真への気持ちがなんか違う。
――これが本当の、恋?
私は頬杖つきながら寝ている彼を見つめ、声をひとつも出さず、口だけを動かした。丁寧に。
す・き・だ
って。