菜々恵と会った次の週の週末に中学校の同窓会の開催案内の往復はがきが届いた。幹事として小川君と田村菜々恵の名前が印刷されていた。

案内文には今年は事情があって今まで開けなかったが、急遽同窓会を開きたい旨が書かれていた。菜々恵の病状もあるので急いで開催したいのだと思った。小川君は彼女の病状を知っているのだろうと思った。

開催日は1か月後の10月12日(土)、場所は箱根の湖尻のホテルになっていた。返信期限は1週間後までとなっていたのですぐに出席にして投函した。返信先は菜々恵の住所になっていた。菜々恵の住所が分かったので、スマホの電話番号簿に記録しておいた。

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投函してから2~3日後の夜に菜々恵から電話が入った。

「同窓会出席の返事が届きました。出席してくれてありがとう」

「私の病状もあるので小川さんと相談して急遽今年の同窓会を開くことにしました。この機会を逃すともう私は同窓会には出られないかもしれないので」

「出席の返事はほかにも来ているの?」

「ええ、急だったけど何人かは出席してくれそうです」

「皆に会うのが楽しみだ」

「当日会場へ一緒に行きませんか?」

「いいけど」

「せっかくだから、朝早く出て、新宿駅で落ち合って、途中、見物しながら、ホテルへ向かうことでどうかしら」

「いいね。付き合うよ」

「それなら、スケジュールを考えてメールします」

「了解。送ってくれれば、そのスケジュールどおりにしよう」

「楽しみです」

次の日の夜、メールで落ち合う時間と集合場所を知らせてきた。すぐに[了解]の返信を入れておいた。菜々恵と二人だけの旅行も悪くない。今はそう思う。彼女も思い出を作りたいのだろう。