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碧へ

　まずは、ありがとう。それは、会いに来てくれたこともそうだし、今まで一緒にたくさんの思い出を作ってくれたこともそう。
　碧が、世界に戻るまでの時間を私のために使ってくれて、ありがとう。すごく嬉しい。碧が帰ってくる日を待っていて良かったって思った。
　今日、キャンプの話とか、勉強会の話とか、それ以外にもたくさん話せて楽しかった。しつこいかもしれないけれど、本当にありがとう。

　ここからは、私の気持ちを話させてください。
　碧がいなくなった理由を、私はさっき初めて知りました。それから、私が灰色の世界で過ごすことになったきっかけも。
　碧が私にいなくなったことを言えなかった理由がずっとわからなかった。私は本当は一年前から、碧がいなくなった理由を知りたかったよ。灰色の世界で生きている理由だって、全部全部。
　正直、灰色の世界で過ごすのは怖かった。色彩も感情も全部消えた世界でも、毎日恐怖だけは感じてた。いつになったら私は、元の、色彩豊かな世界で、感情豊かな世界で生きられるんだろう。元通りになれるんだろうって毎日思って、碧のことを思い出して毎日泣いて。
　でも、この二つの感情だけがずっと消えなかった理由を最後の最後に知れてよかった。

　さっき、碧がいなくなっても大丈夫、って言ったと思うんだけど、私、強がってた。やっぱり、碧が私の世界から消えたあとが怖くて不安です。
　だけど、忘れないって言ったのは本当。記憶が消えます、なんて嘘。さっき言ったこととちょっと矛盾してるかも知れないけど、表上では記憶が消えても、絶対に私の頭のどこかに碧の記憶が刻まれている。だって、十年以上ずっと一緒にたくさんの思い出を作ってきたのに、そんなの誰にも消せないよ。

　この手紙が届いているかはわからないけれど、届いていたらいいな。届いてたら、ていうか届いてなくても、私達は会える。会って、冥界の司令官とやらを笑ってやろうよ。碧もそうだと思うけど、私は冥界の司令官の言いなりになんてなりたくない。
　だから、絶対に会おうね。
　その日が来るまでずっとずっと待ち続けるから、碧も待ってくれてたら嬉しいです。

　またね。

結絵より