手紙を読み終えて顔をあげる。何も言えなかった、何も言わなかった。おもむろにエアくんが口を開いた。

 「大きめのひとり言を今から話すから。俺と幸来は…初めは普通の担当と姫だったんだ。店に来てくれるお客様って感じで、俺も店員として接客してた。でも、俺ホストだし。シャンパンとか、高い酒で売り上げとかナンバーとかが決まるのも事実。でも、幸来は普通の昼職の人でさ、入れられないのわかってたんだ。でもそれで良いとは思われたくなかったから、匂わせたんだ。でもそれが嫌だったんだよね。幸来、ごめんな…。メンケアとかできてないのわかってたけど、幸来の心が硝子なのもわかってた。でも幸来なら受け入れてくれるって俺が甘えてたところが、幸来の自殺の原因なのかな。幸来は確かに細客だったけど、俺の仕事を誰よりも理解してくれて、俺が卓につけなくても、ヘルプと仲良くできる姫だったから、本当に大事にしなきゃいけない姫だったんだよな…詩音さん、ありがとうございます。俺、また一から気合入れてホストやり直します」

そう言ってエアさんは泣きながら頭を下げた。