気まずい沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは、鼻をすする音だった。
 「はぁ…俺…なんとなくだけど、幸来がもう店にこない気がしてたんだよね。詩音さんにこんな話をするのもなんか違うんだけど。なんか透明になっていく感じがしてさ。消えちゃうんじゃなかって思ってたんだ…手紙読ませてもらっていい?」
 私はエア(ジェネラル)と書かれた封筒を渡す。エアさんはまるで女の子のような細い綺麗な手で、糊づけされた封筒を丁寧にあけた。

 「詩音さん、ありがとう」
 手紙を読み終えたエアさんはそっと手紙を封筒に戻し、囁くような声で言った。
 「あー…俺なんで忘れてたんだろ。大事なものは失ってから気づくとか、めちゃめちゃ嫌だわ…あ、読む?」
 「え…?」
 「手紙を届けてくれた人には読ませていいって書いてあった」
 「じゃ…」
 そう言って手紙を受け取り、開く。