「はじめまして、向陽(ひなた)茉蕗(まろん)さん。
 俺は神賀(かみが)龍輝(りゅうき)
 向陽茉蕗(あんた)と同じ高校三年」


 誰?

 なぜ知っているの? 私の名前を。


 驚きを通り越して。
 怖い、かなり。


「本当は初めてではないけど、
 そのようなものだから」


 どういうこと?


「訊くけど、
 今、時間は大丈夫か?」


 今は。
 授業が終わり。
 家に帰るところ。


「いきなりで悪いけど話がある。
 場所は近くの公園で」


 えっ?

 まだ何も返事していない。


 そう思っている間にも。
 神賀龍輝くんという人は私の手を握り歩き出した。