バシャッ
　突如かけられた水。
「あ、ごめ～ん。いることに気づかなかった～」
　いつものことだ。もう慣れた。私は精一杯の笑みを浮かべて
「ううん、気にしないで」
　とだけ返した。
　しかし彼女たちはその態度が気に入らないようで、舌打ちをして去っていった。流石に毎日のようにやられていれば、慣れるものだ。
　そんなことを考えていると、放送が入った。
『二年C組、立花玲奈。至急、職員室に来なさい』
　私が職員室に呼び出されるなんて、何か問題を起こしただろうか。身に覚えがないので体を急いで拭き、首を傾げながら職員室に向かった。　
　職員室につくと、担任の先生が私を呼んだらしく、何の前置きもなく授業料についての話を切り出した。
「立花、少し言いずらい事なんだがな、その...」
「なんですか？何か問題を起こしましたか？」
　先を促すと、先生は遠慮がちに口を開いた。
「あのな、入学してからしばらくの間、授業料が払われていないんだ」
「えっ？」
　思わず声が出てしまう。そんなはずはない。ちゃんと叔母にバイト代を渡しているはず。
「とりあえず、保護者の方に確認してもらえ」
　動揺しながらも、叔母さんに確認する他ないので、授業後で受けた授業が終わるなり、急いで帰宅した。