ワイバーンホライズンズ~ゲーム作家の俺がログアウトしくじったら自作の龍を退治する羽目になったんだが

「そんな事言ってる場合か!」カルバートはワイバーンを力づくで引き離した「どうすりゃいい? どうすりゃ治るんだ」
「わからない」
「ワイバーンの鱗に何か見える」
カルバートが言った そこには小さな字で文字が書かれている「竜騎士を探せ、そう書いてあるな」「竜騎士を? じゃあ、ワイバーンを倒せるのはドラゴンしかいないってこと?」「そうなる」アルバートはワイバーンを見た「どうしたんだよ、アルバート」カルバートはワイバーンを指差して叫んだ「見て、こいつの顔!泣いてるみたい!」
「何だよ?その展開はあ?お前ら全員グルなのかよ?俺たちを騙したのかよ!」「ちがうよ、ワイバーンが本当に泣くはずないよ!」「うるせえ、ワイバーンなんて呼ぶな!ワイバーン様に謝れ!ワイバーン様だ!」「もう、意味がわかんねえ!」
アルバートとカルバートが言い争っている間にもワイバーンが暴れだす「アルバート、私にいい考えがある!」バーグマンはアルバートを羽交い締めにした「どうするつもりだ」アルバートのワイバーンはバーグマンの方に向き直った。そして、「ワイバーン、アルバートの首を食い千切れ!」バーグマンは思いきり体重をかけた「どうした?ワイバーン?聞こえないのか、ワイバーン?返事をしろ!」アルバートは声にならない声で叫び続けた「うおおお」
バーグマンは「ワイバーンの弱点は目だ」と言って、アルバートのワイバーンの目に剣を突き刺した「これで動きが止まった」そして「どうだ?痛いか? アルバート?アルバート?ワイバーン、アルバートから離れなさい」アルバートのワイバーンの翼の付け根から出血している「どうだワイバーン。降参しろ、これ以上苦しむ必要はない。さっさと死んでしまえ」
ワイバーンは動かなくなった「終わった・・・なの?ねえワイバーン死んだの? ねえ」アルバートはワイバーンを撫でながら泣き崩れている「どうなったの?ねえ」アルバートは肩を落とした。どう見ても勝負はついたようだ。アルバートの完敗に終わった。「アルバート」と声を掛けられた「はい」と答えるしかなかった「君はもう要らない。帰ってくれ」そして「アルバートはこのゲームを辞めました。アルバート・K・ヒロキはアカウントを削除し、この世界のデータベースから消えました」こうして彼は追放された「ざまあみろ!」と、アルバートの声が虚しく響いた。「じゃあねアルバート。あなたとの冒険楽しかったわ」アルバートとワイバーンの戦いが終わった直後、ワイバーンは光り輝いて消え、代わりに美しい女性が現れた「ワイバーン?女?どうなってるの?これ」
ジャンル:ファンタジー、SF。ジャンル:一人称視点。
アルバートのワイバーンに噛み付いたワイバーンが雌であった事は偶然だったのだろうか? たまたま性別が雄と入れ替わったのかもしれない。
アルバートのワイバーンと死闘を演じたワイバーンは雌で間違いなかった。
「ドラゴンは強い男に惹かれる」と言う伝説がまことしやかに語り継がれていたからだ。
しかし、真相を知る者は居ない。
なぜ、ワイバーンが突然、雌になったのか?それは神のみが知っている。ただ、一つ言える事がある。
アルバートのワイバーンは強かった。そしてワイバーンは実在していた、という事実。それだけだ。
この事実だけが重要だ。ワイバーンは実在する、それだけは真実なのだ。
だからワイバーン・スレイヤーをアルバート・ケラーに贈ろう。
アルバート、君にならそれが出来る。
私はワイバーン・スレイヤーが見たい。君のゲームが見たい。
ワイバーンに喰われたはずのワイバーン・スレイヤーが見たい。
ただそれだけなんだ。
※以下、本文サンプル(改行のみ調整)
(プロローグ1より)
【アルバート、私の愛を受け止めてくれ】
カルバートの右手に握られた剣が禍々しい輝きを放ち始める「なにあれ、ヤバイよ。逃げよう」と呟くアル。
「逃げる?どこへ?無理だ。こいつからはどう考えても逃れられない。そもそも俺が望んだことだ。こうなる事を」と自虐的に笑みを浮かべるカルバート「そうだな、アルバートのせいじゃないな」と言いつつも納得しかねている表情を見せる。「そうか」
カルバートの顔つきが変わる「どうすれば良いんだ?」カルバートは目を瞑って、精神統一を図る「どうもしない。このまま突っ切るしかない」とバーグマンは答え、手にした杖を構えた。「了解」と答え、二人は走り始めた。しかし、足取りは重く、遅い。「クソッ!」カルバートが悔しげに叫ぶ。「仕方ない」
二人は走るのを止め、同時に後ろを振り向く「どうしようもない、これが現実だ」バーグマンはアルバートを見据えて言った。「わかってるよ。そんな事」