「えっ?! 待ってください! どこに行くのですか?!」

 馬車は逃げるようにしてその場を離れ、やがてその姿も見えなくなった。
 リーズは自分の置かれた状況がわからず、辺りをもう一度見回す。

(ここ……どこなの? 森?)

 辺りは小鳥の鳴き声一つ聞こえない深い深い森の奥のようだった。
 あまりの木の多さと大きさに日の光が遮られて少し薄暗い。
 そんな状況の中でリーズは自分の置かれた状況について必死に考えようとするが、頭が混乱してそれどころではなかった。

(え? 私、置いて行かれてしまったの?)

 リーズは恐れていることを心の中で思い浮かべたが、確かな情報ではないためその場にとどまることにした。



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