入学して初めての夏休みが近づくころ、恋バナがちらほらと聞こえてくるようになる。
もれなく軽音学部内でも、好きな人が出来た人や付き合い始める人が出てきた。
高身長でハンサムな先輩ドラマーに恋する同い年の女の子や、ベーシスト同士で付き合い始めた人。夏休み前だということも相まって、なんとなく浮足立ったような雰囲気が漂っている。
そんな中、私と大輝は夜に電話をしあう仲になっていた。
長々と話す内容は、ほとんどが中身のないくだらないものだ。授業がわからないとか、癖の強い先生の話。好きなゲームやバンドの話。
別に電話しなくてもいいのだが、いつの間にか長電話するのがルーティンになっている。
私がかけなければ大輝から。大輝からかかってこなければ私からかけるようになっていた。
その日もいつものように、くだらない話をしていた。それなのに、大輝はまた、唐突に私にあの質問をしてきた。
「大藤、好きな人いる?」
その頃、私の中で大輝は部活仲間というポジションに戻りつつあった。金山と三人で帰ることもあったし、良い仲間って感じだ。
「どうだろう。いないと思う」
「本当に? いると思うんだよな」
いないと思う、なんてふんわりと答えた私に、大輝はいると思う、と答えた。それからこう続けた。
「当ててやるよ。大藤の好きな人」
もれなく軽音学部内でも、好きな人が出来た人や付き合い始める人が出てきた。
高身長でハンサムな先輩ドラマーに恋する同い年の女の子や、ベーシスト同士で付き合い始めた人。夏休み前だということも相まって、なんとなく浮足立ったような雰囲気が漂っている。
そんな中、私と大輝は夜に電話をしあう仲になっていた。
長々と話す内容は、ほとんどが中身のないくだらないものだ。授業がわからないとか、癖の強い先生の話。好きなゲームやバンドの話。
別に電話しなくてもいいのだが、いつの間にか長電話するのがルーティンになっている。
私がかけなければ大輝から。大輝からかかってこなければ私からかけるようになっていた。
その日もいつものように、くだらない話をしていた。それなのに、大輝はまた、唐突に私にあの質問をしてきた。
「大藤、好きな人いる?」
その頃、私の中で大輝は部活仲間というポジションに戻りつつあった。金山と三人で帰ることもあったし、良い仲間って感じだ。
「どうだろう。いないと思う」
「本当に? いると思うんだよな」
いないと思う、なんてふんわりと答えた私に、大輝はいると思う、と答えた。それからこう続けた。
「当ててやるよ。大藤の好きな人」