直後、私の手を取って打ち上げ花火をしている金山たちの方へ歩き出す。

「ねぇ、花火まだ少しあったよ。ゴミも片さないと……」
「わかってる。あとで一緒に片付けよう」
「……一緒に」
「そう。一緒に」

 自分の手を引いている大輝が、恋人なのだということを急に意識してしまった。

 一緒にアンプを運ぼう、とか。
 一緒に音を合わせてみよう、とか。
 今まで何度も言われてきている。
 それなのに、ただの部活仲間だった時に言われていた『一緒に』と、今は少し意味が違う気がしている。

 恥ずかしくなって俯いた私の気を知らずに、大輝は掴んでいた手を上にあげた。

「俺たち付き合うことになりましたー!」

 夜の海に響き渡るような声で、大輝が叫ぶ。
 それに反応するように、金山たちが動きを止めたのは一瞬だった。
 すぐに歓声のような、奇声のようなものがワッと沸いて騒々しさが増す。

「……恥ずかしいよ」
「本当のことなんだから、いいだろ」

 顔を真っ赤にして消えそうなほど小さくなっていく私の手を、大輝は強く握る。

「大藤、おめでとー!」

 金山が叫んで、ロケット花火に火をつけた。

 甲高い音を立てながら打ち上がった花火が、夜空でパンッと破裂する。それはまるで祝砲だった。

「これから、末永くよろしく」
「こ、こちらこそ」

 ぎこちなく受け答えをする私を、次々打ち上げられる花火が弾けながら見守っていた。