花火が光る場所以外は真っ暗な浜辺に、友達の笑い声が響いている。
 それはかなりの騒々しさだった。でも、自分の鼓動と呼吸の音が大きすぎて喧騒が遠い。

 大輝から返事を聞いたら、私もあの大騒ぎにいれてもらおう。
 そうしたら泣かずにいられるかもしれない。別に泣いてもいいか。今夜は一人じゃないし、みんなに笑い飛ばしてもらおう。

 断られた時のショックを軽くするために、頭の中で何度もシミュレーションをする。


 大丈夫。ありがとう。気にしないで。これからもいい友達でいてね。

 
 つっかえずに言えるような気になってきた時、大輝が私が持っていた花火に火をつけた。
 パッと目の前が明るくなって、大輝の伺うような顔が見える。


「……付き合ってみようか。俺たち」
「えっ」

 心底驚いた顔をしたであろう私を見て、大輝が笑う。

「そんなに驚く?」
「だって、まさか、オッケーだなんて思ってなくて」
「振られると思いながら言ったの?」
「そもそも、告白する予定じゃなかった。大輝くんが私の好きな人を何度も聞いてくるから、つい言っちゃっただけで」

 私の言葉を聞いて、大輝の目が丸くなる。そのままお互い言葉失った。
 持っていた花火の火が小さくなって消えるのと同時に、大輝がふにゃんと笑う。