大輝を好きな理由。
 なぜ好きなのかはわからない。でも、好きだと思うところなら言える。

 スパーク花火が小さくなっていくのを見ながら、少し考えた。そして、左手で次の花火を持って顔を上げる。

「ギターを弾く時の、指が好き」
「指?」
「うん。綺麗だなって思いながら見てた」

 不思議そうな顔をした大輝が、自分の手をまじまじと見つめる。

「それから、笑った時、目がなくなっちゃうところも好き。ふにゃんって顔になるの」
「なんだよそれ」
「ほら、それ。その顔」

 目の前で笑った大輝を指で示す。

「他にもあるけど、言い出したらキリがないよ」
「そっか」

 新しい花火に火をつけるのを忘れて、私の手元が暗くなる。
 もう花火の残りも数本だ。
 金山の言う通り、今ここで白黒はっきりさせておいた方が絶対にいい。

 ダメだとしても、死ぬわけじゃない。この先長いであろう人生で、一回振られたからってなんだと言うのだ。

 聞こう。返事を。

「私、返事を聞きたい」
「……うん。そうだよな」

 大輝は真面目な顔でそう言って、手元で光る自分の花火をじっと見つめた。