そのまま傍まで来ると、砂浜に置いてあった花火を二本取って火をつける。

「はい。一本どうぞ」
「ありが、とう……」

 緊張と気まずさで、日本語覚えたてのような喋り方になってしまう。そんな私を、大輝はプッと笑った。

「……笑わないでよ」
「なぁ、そんなに気まずそうにしなくてもいいじゃん」

 何もなかったかのように大輝はそう言って、私の真正面にしゃがんだ。
 手に持っているススキ花火の、シューッという音がやけに大きく聞こえる。

「……あの、さ」

 今度は大輝が遠慮がちに声をだした。

「何?」

 次の花火に火をつけて、返事をする。

「大藤の好きな人が、俺だってやつ」
「うん」
「あれ、本当?」
「うん」

 会話をしながら、花火が消える前に次の花火に火をつける。なんだか時間制限みたいだ。
 今、この場にある花火がなくなってしまう前に、しっかり話をしなければならないような気になっている。

「あ。私、この花火好き。金色で綺麗。大きな線香花火みたい」

 つい思ったことがそのまま出てしまった。
 私の手にはスパーク花火があった。
 雪の結晶のような火花がパチパチと弾けるように燃えていく。

 私が嬉しそうな顔をしたのを見て、大輝の目が少し優しくなったような気がした。そう感じただけかもしれない。

「俺は?」
「何?」
「俺のことは、どうして好きなの?」