言った直後、猛烈に後悔していた。

 振られて気まずくなるなら、仲のいい部活仲間でいられた方がきっと幸せだった。高校生という貴重な期間を、一緒に笑ったり怒ったり、時々泣いたりしながら過ごした方がきっと良かった。
 それなりに近くで大輝の色々な表情を見ていられるはずだったのに、それを自ら放棄したのだ。

 顔があげられない。だから、大輝がどんな顔をしているかもわからない。

「……そうなの?」

 永遠と間違うぐらいの間をおいて、大輝は一言そう言った。
 恐る恐る視線を向けると、予想外だとでも言いたそうな顔をした大輝が目に入った。

 驚いた顔をした大輝の目を見て、一度大きく頷く。

「えー。そうか……。そうかぁ……」

 譫言のようにそう何度か繰り返して大輝はそれきり何も言わなくなった。

 手の中で食べられるのを待っていたアイスが、ドロリと溶けていく。

「大藤ー、大輝ー! 行くよー!」

 少し離れた場所で、沖から帰ってきた金山たちが手招きしている。

「……じゃあ、そういうことで」

 何も言わない大輝に向かってそう言って、私は浜辺を後にした。