金山の示す先に、ビーチバレーをしている人たちが見える。
 たくさんの人間がごちゃ混ぜになっているのに、私の目は大輝をすぐに見つけた。

「大輝は帰っちゃうだろ? 告白、頑張れよ」
「するなんて言ってない」
「しとけよ。もし振られたら、夜は慰め会しようぜ」
「しないから、それはない」
「オッケーだったら、お祝いだな」

 金山の中で、今日私が告白することはブレないようだった。
 言い返すのをやめて、少しぬるくなったラムネを傾ける。

「ここのビーチ、夕焼けが綺麗なんだぜ」
「ふーん」

 金山は最後にゆで卵を食べると、すぐに席を立った。

「告白、成功するといいな。まじで」
「はいはい。そうですね」
「大藤も早く行こうぜ。俺、先に行くわ」
「うん」

 ごっそーさん、と言いながら金山が海の家を出ていく。

「青春って、感じだねぇ」

 日に焼けた金髪の店員が、不意にそう呟いた。独り言かと思ったけれど、視線はしっかり私を見ていた。会話を聞いていたのかもしれない。

「はは……」

 気まずさに、曖昧に笑い返した私に向かって店員は親指を立てた。
 思わず会釈した私を、屋根に垂れた風鈴がチリンチリンと笑っていた。