俺は白瀬凪葉
突然だけど俺は心臓病を患っていて余命宣告されている
余命は───
「半年」だそうだ
今俺は学校に通っている
普通余命宣告されるような病人は入院しているだろうけど。
俺は両親と医師に頼んで残り半年を自由に過ごさせてもらった
初めはただ闘病は大変でしんどいものと聞いていたから闘病が嫌で自由にしてもらったけど
今は1つ目標がある
それは───
幼馴染であり片想いしている相手を救うこと俺の死ぬまでの目標は───
幼馴染であり片想いしている相手を救うこと
幼馴染の花園乃莉葉はクラスメイトの白菱優香たちのグループに虐められている
そして俺の死ぬ日を知っている乃莉葉はその日に俺と共に自殺しようとしているのだ
乃莉葉ははっきり言って馬鹿だ
確かに虐められているのは可哀想だが
自殺なんてしないで欲しい
自殺するなんて言わないで欲しい
だって
好きなんだ

お前が───いや乃莉葉が
でも俺は乃莉葉に面と向かって
───好きだ───
なんて言う勇気がない
そして時間が無い
俺が死ぬ前に俺の未練と乃莉葉の未来を救わなくてはならない
俺がどうして乃莉葉を好きになったかと言うと
あの時の一言だった
俺が小3の時
体育の時間だったかな
倒れて病院に運ばれた時
医者に言われたんだ
大人にはなれない可能性が高いですね
と両親は嘆き悲しんだ
当時中学2年生だった姉もずっと黙りこくっていた
俺も子供ながらにもうすぐ死ぬんだな
と感じた
死ぬのが怖くなったのは翌日だった
1週間後退院しても
泣きながら学校に行った
声をかけてきたのが他でもない
乃莉葉だった
「大丈夫だから泣かないで」
全然大丈夫じゃないのは分かってるくせにお互いだ
でも俺は「うん」と言った
彼女は笑った
まさかあの頃の彼女の笑顔が
最後の笑顔になるなんて
思ってもいなかった
でも気ずいたんだ
俺の力でも彼女を笑顔にできることに
昔聞いたんだ
凪の笑顔が世界で1番綺麗だよ
ってね
だから今度は俺の番だと思った
俺が死ぬ前に
彼女の笑顔を取り戻すんだ
俺が死んでも笑えるようにするんだ
それが俺の使命だから
───────────────
私は凪葉
女子高生だ
今私は虐められている
それに
友達───いや
幼馴染兼片想いの相手が余命宣告されている
世界で結構不幸な女の子だと思う
私の人生全部物語だったらいいのに
なんて思う事が増えた
凪くんの死期が近づいてきたからだろうか
だって物語だったら
虐められている私を凪くんが助けて
結婚なんて───
事もあるのになぁ〜
でも前凪くんに言われた
自殺するねって言った時
前向いて一生懸命生きろってね
だから気づいたんだ
私が死ぬまでの間
凪くんを幸せにするんだ
───────────────
俺は結局
余命残り1週間になるまで
何も出来なかった
余命残り1ヶ月位の頃から
体調がすぐれない日が増えた
だからあまり乃莉葉に会えていない
そしてもう死んでしまうという
恐怖と不安
乃莉葉を笑顔に出来なかった無力感に苛まれて病気を抱えた心臓を動かすだけで生きていた1ヶ月
勿体ないなと思った
でも何も出来なかった
俺は別に死に際に乃莉葉の笑顔を見て好きを伝えれたらもう死んでもいい
でも何も無かったらあと80年くらい生きれる乃莉葉の命を無くしてしまうのは悲しい
悲しいなんて言葉で表せないほど
手紙でも書こうか
───────────────
乃莉葉へ
手紙書くなんて何年ぶりかな
この手紙を読む頃には俺はもう
死んでると思う
言葉じゃ生きてるうちに
上手く伝えられないと思うから
手紙で書くね
乃莉葉はさ虐められてるよね
だから俺が死んだら
一緒に自殺するって言ってたよね
でも自殺なんて絶対やめてね
こんなの綺麗事にしか
聞こえないかもだけど
生きていれば絶対にいいことがある
子供のうちに「虐め」という
経験しないと分からないほどの
辛いことを経験した乃莉葉には
大人になったら
すっごくいいことがあるに違いないよ
俺が保証するよ
乃莉葉は
いい大学に行って
優しい彼氏や友達に出会って
乃莉葉のことを俺の次に思ってる人と
結婚して子供を産んで
おばあちゃんになって
寿命で死んだら
俺のところに会いに来て
今までの思い出話をしてね
乃莉葉の笑顔を見れないなら
俺、死んでも死にきれないから
俺が死んでも笑っといてね
いつまでも見守っとくから
俺が寂しくないように
たまには墓参りに来てよな
じゃあね乃莉葉よろしく

最愛なる凪葉より
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少し、いやとっても照れくさかった
この手紙を書いている時
涙が垂れてきた
1粒、2粒と
やっぱり死にたくないや
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俺が死ぬ日
俺は乃莉葉に会いに行くために
乃莉葉の家に行った
そして
───伝えたいことがある───
と言った時だった
急に胸の奥を銃で撃ち抜かれたような痛みが襲った
足に力が入らなくなって
崩れ落ちた
乃莉葉が
凪くん凪くんなっ凪くん
意識を手放しかけた俺の耳に乃莉葉が
凪くんと俺を呼ぶ声がした
────────────────
次に目が覚めたのは
真っ白な空間だった
天国かな
と思った
頬に涙がつたう
乃莉葉
凪くんっと呼ばれた
俺まだ死んでなかったの
じゃあ伝えられるね───
────────────────
凪くんが倒れた時は死んじゃったかと思ったけど
死んでなかったみたい
でも今日死んでしまう可能性が高いって
まだ伝えられていないのに
───好き───

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なぁ
俺乃莉葉のことが
ねぇ
私凪くんのことが
───ずっと好きだったよ───
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乃莉葉
こ、この手紙
読んでよ
いえなかったことが
全部書いているから
じゃあね
元気でね
もう自殺なんて言わないでね
凪くん
もう行っちゃうの
寂しいよ
悲しいよ
これじゃあ
笑えないよ
でも
凪くんも同じ気持ちだったて分かって
嬉しかったよ
じゃあね
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凪くんが死んだ後
手紙通りいい大学に進学して
優しい彼氏と友達と会えたよ
お墓参りもちゃんと行ってるよ
でもそんなこと言わなくても
分かるよね
ずっと見てるんでしょ
たまに、いや時々、いや
ずっと毎日
悲しいし寂しい
でもそんなこと言ったら凪くん悲しむから
言わない
言ってない
凪くんには天国でも笑っていて欲しいから
これから凪くんの分まで楽しい人生を創っていくよ
ありがとう───
凪葉
────────────────
乃莉葉元気にやってるね
安心した
いい人見つけたんだね
墓参りも来てくれてるね
ありがとう
短い人生だったけど
俺の人生を生きれてよかったよ
ありがとう
みんな
乃莉葉
大好きだよ。