今日も耳に聞こえてくるのは吹奏楽部の演奏の音。
俺は変わらずいつも通り練習に取り組んだ。「綺麗だな」と思いながら。
サッカーボールの片付けを、1年のみんなでやりながら帰る準備をしていると耳に流れてきたのは【夕焼けこやけ】
いつもこの時間帯になると聞こえてくるひとりの音。
俺はいつしか耳に自然と入ってくるその音に惹かれ始めていたんだ。
毎日同じ時間に流れる【夕焼けこやけ】
だんだんとそれを演奏してる人のことも想像し始めるようになった。
時間が経つ度、あの音を聞く度に気になる気持ちは増していった。
そんなある日、【夕焼けこやけ】が聞こえてこない日があった。
風邪でも引いたのかな。
と心の中で片付けた。
だけど俺は、もうあの音を聞けないかもしれない。そんな考えが一瞬頭をよぎった時、突如ものすごい不安と後悔で胸が押しつぶされそうになった。
それでも、その時の俺は何をすることもできなかった。
翌日、いつもの時間。
俺が待ち望んでいた音が耳に流れてきた。
俺は思わず運動場から1度も入ったことの無い音楽室への道を急いだ。
どんどん大きくなっていく音に興奮が抑えきれなかった。
音楽室の扉を前にドキドキと胸を高鳴らせながら中に入った。
そんな俺の目に写ったのは、運動場の方を向いてトランペットを吹いていたポニーテール姿の女の子。
俺は何をするでもなくただ立ち尽くしていた。
演奏が終わったあと、女の子が振り向き何も考えていなかった俺は焦りながら言葉を発した。
「綺麗、ですね。」
その言葉に少し戸惑いながら笑って俺に聞いてきた。
「サッカー部の子、だよね?」
俺は驚いた。
俺の事、なんで知ってくれてるの?という疑問ももちろんあった。
けれど、こちらを覗き込んでくるような真っ直ぐな瞳と無邪気な愛らしい笑顔に俺の考えは全部呑まれてしまったんだ。
そんな俺を見兼ねて言葉を続ける女の子。
「2年のたいがって分かるかな?私、たいがと幼なじみなんだよね!だから、たいがのことよくみてて、、」
顔をおさえながらあからさまに動揺する女の子
「っっ、まって!!!」
少しの緊張感が俺に走った。
俺からは何も聞いてないのに、とも思いながら気になったことを聞く。
「たいが先輩のこと好きなんですか?」
「やっっぱり、バレた?」
「おねがい!!みんなには内緒にして!」
遅かった。俺が惹かれていた女の子には好きな人がいた。
足がすくむのを直に感じる。どんどん地面が遠ざかっていくような気分だ。
そんな俺の気持ちを他所に、「おねがい!」と必死に俺に頼む女の子の顔は恥じらいながらも真っ赤に染まっていて、こんな状況の中でも俺は女の子のことを、とても可愛いと思った。
そのあとは、普段あまり誰にも言えていないのかたいが先輩のかっこいいところや小さい頃のエピソードを楽しそうに話しまくる女の子。
その話を耳に聞かせ、俺自身も楽しそうに相槌を返していた。
「この先輩の笑顔をそばで見守ろう」
と心に決めながら。
今日も俺は耳に入ってくる【夕焼けこやけ】を聞きながら、音楽室への道を慣れた足取りで向かう。
そして俺は慣れた調子で女の子に話しかけるんだ。
「今日も綺麗ですね」
俺は変わらずいつも通り練習に取り組んだ。「綺麗だな」と思いながら。
サッカーボールの片付けを、1年のみんなでやりながら帰る準備をしていると耳に流れてきたのは【夕焼けこやけ】
いつもこの時間帯になると聞こえてくるひとりの音。
俺はいつしか耳に自然と入ってくるその音に惹かれ始めていたんだ。
毎日同じ時間に流れる【夕焼けこやけ】
だんだんとそれを演奏してる人のことも想像し始めるようになった。
時間が経つ度、あの音を聞く度に気になる気持ちは増していった。
そんなある日、【夕焼けこやけ】が聞こえてこない日があった。
風邪でも引いたのかな。
と心の中で片付けた。
だけど俺は、もうあの音を聞けないかもしれない。そんな考えが一瞬頭をよぎった時、突如ものすごい不安と後悔で胸が押しつぶされそうになった。
それでも、その時の俺は何をすることもできなかった。
翌日、いつもの時間。
俺が待ち望んでいた音が耳に流れてきた。
俺は思わず運動場から1度も入ったことの無い音楽室への道を急いだ。
どんどん大きくなっていく音に興奮が抑えきれなかった。
音楽室の扉を前にドキドキと胸を高鳴らせながら中に入った。
そんな俺の目に写ったのは、運動場の方を向いてトランペットを吹いていたポニーテール姿の女の子。
俺は何をするでもなくただ立ち尽くしていた。
演奏が終わったあと、女の子が振り向き何も考えていなかった俺は焦りながら言葉を発した。
「綺麗、ですね。」
その言葉に少し戸惑いながら笑って俺に聞いてきた。
「サッカー部の子、だよね?」
俺は驚いた。
俺の事、なんで知ってくれてるの?という疑問ももちろんあった。
けれど、こちらを覗き込んでくるような真っ直ぐな瞳と無邪気な愛らしい笑顔に俺の考えは全部呑まれてしまったんだ。
そんな俺を見兼ねて言葉を続ける女の子。
「2年のたいがって分かるかな?私、たいがと幼なじみなんだよね!だから、たいがのことよくみてて、、」
顔をおさえながらあからさまに動揺する女の子
「っっ、まって!!!」
少しの緊張感が俺に走った。
俺からは何も聞いてないのに、とも思いながら気になったことを聞く。
「たいが先輩のこと好きなんですか?」
「やっっぱり、バレた?」
「おねがい!!みんなには内緒にして!」
遅かった。俺が惹かれていた女の子には好きな人がいた。
足がすくむのを直に感じる。どんどん地面が遠ざかっていくような気分だ。
そんな俺の気持ちを他所に、「おねがい!」と必死に俺に頼む女の子の顔は恥じらいながらも真っ赤に染まっていて、こんな状況の中でも俺は女の子のことを、とても可愛いと思った。
そのあとは、普段あまり誰にも言えていないのかたいが先輩のかっこいいところや小さい頃のエピソードを楽しそうに話しまくる女の子。
その話を耳に聞かせ、俺自身も楽しそうに相槌を返していた。
「この先輩の笑顔をそばで見守ろう」
と心に決めながら。
今日も俺は耳に入ってくる【夕焼けこやけ】を聞きながら、音楽室への道を慣れた足取りで向かう。
そして俺は慣れた調子で女の子に話しかけるんだ。
「今日も綺麗ですね」