たくさんの写真を撮ってひと休憩していると彼女が言った。
「お昼ご飯どうする?」
「日向さんが食べたいものでいいよ。」
「んーそれなら、焼肉食べたい!」
「焼肉?僕はいいけどそんなに重いものがっつり食べて体とか大丈夫なの?」
「わからないけど多分大丈夫だよ。」
「わからないって…。何かあっても大変だから別のものにしたら?」
「大丈夫だって!私が悪いのは心臓だし。それにいつ死ぬかわからないんだから今したいことをしないと!」
「君が大丈夫なら焼肉行こう。」
「やった!」
彼女が大丈夫だと言うから焼肉に行くことになったけど、本当に大丈夫なのか。そんなことを考えて今からでも別のところにしようと思いつつも本当に嬉しそうにしている彼女を見ているとやっぱりいいかなと思った。
 焼肉のお店に着いた彼女はハイテンションのまま
「ねぇ!何食べる?私はね、まずはカルビと牛タンとハラミ食べたい!」
と質問しているのに僕の返答など待っていなくて自分が食べたいものを早口で言った。
「わかったから、1回落ち着いて。」
僕がそう言うと彼女は気持ちを落ち着かせてこう言った。
「ごめん、焼肉なんて久しぶりだからテンション上がっちゃった。」
「家族で来たりしないの?」
「私の家族はいつも家でご飯を食べるの。私が病気になったせいでお母さんがバランスを考えた食事を毎日作ってくれてるんだ。」
「そうなんだ。なのに外食していいの?」
「大丈夫だよ。お母さんには彼氏とデートだからって言ってオッケーもらってるから。」