僕は頭ではダメだと思いながらも聞いてしまった。
「君は死ぬの?」
「死ぬよ。あと3ヶ月しか生きられない。それでね、澤木くんにお願いがあります。私の思い出作りの手伝いをしてほしい。」
僕はこの人は何を言っているんだろうと思った。
「なんで僕に?」
そう言うと彼女は笑って言った。
「だってこのことを知ってるの私の周りには澤木くんしかいないから。手伝ってくれる?」
本当は手伝いたくない、"また"人の死に関わりなくない、そんな考えが頭をよぎった。けれどそんなことを言えるはずもなく僕はうなずいてしまった。
「いいの?!決まりね!早速だけど明日、駅前に朝10時に集合。」
彼女はそう言って走って行った。
 その日の夜、僕は悩んでいた。僕が人と仲良くしないのには理由があった。それは、中学生の時に親友が自殺したことだ。僕には中学生時代、2人の親友がいて、3人でよく遊んでいた。3人ともクラスは違かったけど、放課後や休みの日には誰かの家に集まって遊んでいた。そんな時だった、親友の1人、光汰が自殺したのは。光汰が自殺した日、僕ら3人はいつものように遊んでいた。光汰もいつもと変わらない元気な姿だった。だがその日の夜、光汰の親から連絡をもらった僕はもう1人の親友、瑠衣と一緒に急いで病院へ向かった。けれど、僕らが着いた頃にはもう光汰は冷たくなっていた。光汰はクラスでいじめにあっていたらしい。僕らには親友の悩みにも気づけず助けられなかったという後悔だけが残った。今でも瑠衣とは同じ高校、同じクラスで親友として仲良くしている。だけど僕ら2人の間にはあの時の後悔がまとわりついていた。だから僕は周りの人を信じれない。そして人と深く関わらないようにしていた。それなのに余命を宣告されている人と関わることになるなんて。