宴も終わりに近づいたのか、知らないうちに人が減り、大ホールもそれなりの大きさに戻っていた。便利だわぁ、うちの会社の会議室にも欲しい。慣れないドレスと愛想笑いで疲れてしまった。アレックスもシルフィンもジャックも近くにいないし、仲良しになった街の人達も帰ってしまったのか、ポツンとひとりになってしまった。ドレス姿で肩をグルグル回しながらホールを出て、誘われるように階段を上がると、いつも閉じられた部屋から灯りが漏れている。

 もしかして、ここが例の特別なお宝部屋かな。
 ドキドキしながら部屋に入ると、そこは本当にお宝部屋で、全てアレックス以上にキラキラしていた。
 うわぁ。こんなお宝見た事ない。
 金銀財宝ザックザク。海賊が見つけた秘密の島みたい。金貨がまぶしいっ!足元に溢れてる金貨をじゃらじゃらさせて奥に進むけど、どこまでも金貨は砂利道の小石のように続き途切れる事がない。そして宝石も溢れてる。ゴロゴロと転がるダイヤ、ルビー、パール、翡翠にエメラルド。すぐ身に着けれるようなネックレスになっているのもある。重そうだなぁ。輝きで目がクラクラする。

「リナ様」後ろから声が聞こえてシルフィンがやって来た。
「ご案内しようと思ってました」
「ここがお宝部屋?」
「はい。そうです」
 これは盗みたくなる気持ちもわかるけど、一晩中のかゆみを想像すると、やっぱり手は伸びないかな。見るだけで楽しむのが一番かもしれない。目の保養で十分です。