石造りじゃなくて白い清潔なツルツル床で、大きなクッションやバランスボールみたいなのがいっぱいある。窓も広くて開放的なお部屋。

「フレンドって、私たちの国では『友達』という意味です」
 アレックスにそう説明しながら本人を捜す。どこにいるのー?男の子かな女の子かな。何をして遊ぼう。追いかけっこなんていいね、身体使うの好き。臆病で甘えん坊って言ってたから、慣れるまで、絵本を読んでお絵かきをして仲良くなろうかな。
「理想的な意味だ。リナは一般的な世話でいいんだ。あの子の面倒を見るのがリナの仕事だ。空を飛びまわるのとお昼寝が好きでね。ブラッシングもしてほしい」

 ブラッシングったら女の子な。編み込みしてドレス着せたら可愛いかも。いいお友達になれるかな。空を飛びまわる?走り回るの聞き間違いかしら、この世界に入ってから慣れない言葉に聞き違いが多くなっているから。
 新しい仕事にドキドキしながら女の子を捜すけど、部屋が広いせいかまだ現れない。
「食事は一日二回。カラミアの実が好物だが、食べ過ぎるとお腹をこわす。銀水晶も好物だ」
 銀水晶?
「慣れるまで大変だけど……フレーーンド!」
 アレックスが大きな声を出すと、広い部屋の一番奥から何か電車のような物体がこっちに一直線に走って来た。

 よくよく見ると
 それは

 電車じゃなくて




 ドラゴンだった。