これから朝食。王に謁見してドSリアムに意地悪されて、街を案内されて……。いつ家に帰れるのだろう。覚悟決めなきゃいけないのかなスタバのラテが飲みたい。夢から覚めるまで頑張ろう。
 
 クローゼットを開くと色んな種類の服が入っていた。全て中世風で長さは足首が隠れるくらい。しっかりとしたレースとフリル使いの豪華なドレスは正式なディナー用かな。私は一番動きやすそうな町娘風の青いドレスをベッドに広げる。そしてクローゼットの引き出しを引くとコルセットが入ってたので素肌に身に着ける。鎧みたいだな。でも背筋が真っ直ぐになって気持ちいいかも。その上にドレスを着てサンダルを履いて中世コスプレ誕生。大きな鏡もあるのでチェックすると、あら……いい感じです。驚くほどにサイズが全てピッタリしている。これも魔法かな。スマホが無くて残念、画像を残したかった。

 鏡もお姫様仕様なのか、こんな状況だけど顔色がいい私。メイクしてないけど頬は薔薇色で目元もパッチリ。さっき洗った肩までの短い髪はいい感じにウェーブが出てクルクルしていて、自分で言うのも恥ずかしいけど可愛く見える。でもこのスクエアカットの胸元はちょっと広くて胸の谷間が見えそうだから、ストールが欲しいなぁ。
 ウロウロとストールを捜していたら、ノックの音が聞こえてシルフィンが部屋に入って来た。

「おはようございますリナ様。王様が朝食をご一緒にとお待ちしております」
「おはようシルフィン」
「ご案内してよろしいでしょうか?」
「お願いします」
 私は昨日リアムから借りたマントを持って、シルフィンの後に続く。

「リアムも来るかな。昨日これを借りてたから」
「リアム様のマントですね。朝はいらっしゃると思います」
 さりげなく私にふんわりとかけてくれたマント。今朝の剣の稽古で見せた笑顔が蘇る。笑うと少年のような可愛らしい顔をしていた。