「昔の話を覚えているかい?」懐かしそうにアレックスが話し始める。
「私達はよく遊んだね。遊びに夢中になって家庭教師に怒られていたっけ、お前がサボるの大好きで、私はそれに付き合いよく父上に怒ら……」
「逆だ!お前のサボりに付き合わされて、いつも俺が巻き込まれてた!」右のリアムがイラつきながら話の途中で言い「お前は逃げ足が速いから、いつも俺が怒られた!」左のリアムはうんざりして言う。
「子供の頃、城で飼ってたフェニックスを覚えてる?名前は何て言ったっけ?」アレックスの次の問いに右のリアムは「スパークだろう。お前が俺の背中にスパークの大好きな水晶の花をベッタリ着けて、俺はスパークに餌にされそうな勢いで背中を突かれ泣いていた」そして左のリアムは「それから王と王妃にお前が怒られ、お前は泣きながら『リアムに【やれ】と頼まれた』と言って俺に罪をなすりつけたな。俺が反論しようとしたら、お前は熱を出した。はしかだった。ザマミロと思ったら次に俺が移ってお前より高熱を出してお前より寝込んで苦しんだ」
あきれたような顔でふたりは言い。アレックスは「両方正解」と、私達に驚きながら言う。
正解って……子供時代の二人の関係が浮かんできて、リアムの不憫さが浮き上がる。ユルユルな王様に苦労させられたのね。
「リアム様」
ジャックが恐る恐る境界線の花瓶まで歩き、二人のリアムの前に立つ。
リアムを尊敬して騎士団に入ったジャック。仕事で一番リアムを知るのはジャックだろう。
「昨年の樹氷祭の話です」ジャックが話し始めると、二人のリアムはジッとジャックを見つめた。
ひとりでも威圧感溢れるリアムが二人も目の前にいるなんて、話しにくいかもしれないけど頑張れジャック!
「式典を終わらせて、どこからかゴブリン達が集まって酒盛りを始めて、祭がぐちゃぐちゃになって大騒ぎでしたよね」
「あれは大変だった」
「神官の説教は長かった」
「あれ……一番最初にゴブリンに酒を飲ませたの……俺なんです」ジャックのカミングアウトにリアム達は背筋を伸ばして剣を抜いた。
「知らん顔してたのか?」
「お前は何をやっている!」
あまりの迫力にジャックは境界線から逃げ出して私達の後ろに隠れた。
「両方ともリアム様です」必死で私達に訴えるジャック。その確認方法はどうかと思うが……。
「そうだろう」気の毒そうに納得してアレックスが声をかける。
この王にして……いや、言うまい。
「私達はよく遊んだね。遊びに夢中になって家庭教師に怒られていたっけ、お前がサボるの大好きで、私はそれに付き合いよく父上に怒ら……」
「逆だ!お前のサボりに付き合わされて、いつも俺が巻き込まれてた!」右のリアムがイラつきながら話の途中で言い「お前は逃げ足が速いから、いつも俺が怒られた!」左のリアムはうんざりして言う。
「子供の頃、城で飼ってたフェニックスを覚えてる?名前は何て言ったっけ?」アレックスの次の問いに右のリアムは「スパークだろう。お前が俺の背中にスパークの大好きな水晶の花をベッタリ着けて、俺はスパークに餌にされそうな勢いで背中を突かれ泣いていた」そして左のリアムは「それから王と王妃にお前が怒られ、お前は泣きながら『リアムに【やれ】と頼まれた』と言って俺に罪をなすりつけたな。俺が反論しようとしたら、お前は熱を出した。はしかだった。ザマミロと思ったら次に俺が移ってお前より高熱を出してお前より寝込んで苦しんだ」
あきれたような顔でふたりは言い。アレックスは「両方正解」と、私達に驚きながら言う。
正解って……子供時代の二人の関係が浮かんできて、リアムの不憫さが浮き上がる。ユルユルな王様に苦労させられたのね。
「リアム様」
ジャックが恐る恐る境界線の花瓶まで歩き、二人のリアムの前に立つ。
リアムを尊敬して騎士団に入ったジャック。仕事で一番リアムを知るのはジャックだろう。
「昨年の樹氷祭の話です」ジャックが話し始めると、二人のリアムはジッとジャックを見つめた。
ひとりでも威圧感溢れるリアムが二人も目の前にいるなんて、話しにくいかもしれないけど頑張れジャック!
「式典を終わらせて、どこからかゴブリン達が集まって酒盛りを始めて、祭がぐちゃぐちゃになって大騒ぎでしたよね」
「あれは大変だった」
「神官の説教は長かった」
「あれ……一番最初にゴブリンに酒を飲ませたの……俺なんです」ジャックのカミングアウトにリアム達は背筋を伸ばして剣を抜いた。
「知らん顔してたのか?」
「お前は何をやっている!」
あまりの迫力にジャックは境界線から逃げ出して私達の後ろに隠れた。
「両方ともリアム様です」必死で私達に訴えるジャック。その確認方法はどうかと思うが……。
「そうだろう」気の毒そうに納得してアレックスが声をかける。
この王にして……いや、言うまい。