つまり、沙羅は昼食に誘うためにこうして待機していたらしい。多分高い確率で、助言したのはうちのクラスメイトの女子だろう。男装の風紀部員である青崎レイとの一件以来、ほとんど全員の女子が沙羅の肩を持っている。

 そういえばこいつのおかげで、クラスメイトの女子に味方はいない状態なんだよな、と理樹は遠い目をした。

「えぇと、その、困らせてしまったのならごめんなさい」

 沙羅が小さな声でそう言って、半分も太腿が覗いたスカートの上に置いた手に、そっと視線を落とした。

 ますます女子生徒たちの視線が痛い。
 そして、可愛いなんて可愛いんだ、と眼差しだけで語ってくるクラスの男子生徒がうざい。

 お前らは女も知らないガキかよ、と同性のクラスメイトに思いかけた理樹は、ふと「……そういや、十六歳はガキだったな」と遅れて思い出した。彼女のせいで、最近は前世の自分で思考してしまうのも、どうにかしたいところだ。