一人話す沙羅の声が、前世の『サラ』と重なって頭の中に響いた。
警鐘のような脈打つ痛みが強まり、視界がぐるぐると回り始めてひどい吐き気まで覚える。頭を持ち上げられていられなくて片手をあてると、異変に気付いた沙羅が「どうしたの、大丈夫?」と立ち上がって歩み寄ってきた。
おろおろとした様子でいた沙羅が、躊躇いがちにこちらの頭に触れてきた。その瞬間、理樹の中で一つの鮮明な声が『前世の記憶』から引っ張り出された。
――君を愛してる。
――私も愛しているわ。
過去の光景と声が蘇った時、理樹はこれまでにない激しい頭痛に襲われて、一瞬後には視界がブラックアウトしていた。
※※※
ああ、またこの『夢』か。
自分はまたしても前世の頃の記憶を見ているらしい、と察して理樹はそう思った。繰り返し見る、耐え難い胸の痛みを伴う彼女との最期の別れだ。
こうして同じ刻(とき)を、自分は何度も夢の中で繰り返し経験しなければならない。諦めのようにそれを受け入れようとした理樹は、ふと、いつもと少し違うことに気付いた。
いつもは自分が『リチャード』として動いているというのに、何故か目の前に、前世の大人の自分である『リチャード』が座っていたのだ。
すらりとした長身の彼が、ベッドのそばに椅子を置いて腰掛けている。そして寝室のベッドには『サラ』が横たわっていて、まるで第三者視点のように、理樹は彼らが過ごす最期の光景を眺めていた。
警鐘のような脈打つ痛みが強まり、視界がぐるぐると回り始めてひどい吐き気まで覚える。頭を持ち上げられていられなくて片手をあてると、異変に気付いた沙羅が「どうしたの、大丈夫?」と立ち上がって歩み寄ってきた。
おろおろとした様子でいた沙羅が、躊躇いがちにこちらの頭に触れてきた。その瞬間、理樹の中で一つの鮮明な声が『前世の記憶』から引っ張り出された。
――君を愛してる。
――私も愛しているわ。
過去の光景と声が蘇った時、理樹はこれまでにない激しい頭痛に襲われて、一瞬後には視界がブラックアウトしていた。
※※※
ああ、またこの『夢』か。
自分はまたしても前世の頃の記憶を見ているらしい、と察して理樹はそう思った。繰り返し見る、耐え難い胸の痛みを伴う彼女との最期の別れだ。
こうして同じ刻(とき)を、自分は何度も夢の中で繰り返し経験しなければならない。諦めのようにそれを受け入れようとした理樹は、ふと、いつもと少し違うことに気付いた。
いつもは自分が『リチャード』として動いているというのに、何故か目の前に、前世の大人の自分である『リチャード』が座っていたのだ。
すらりとした長身の彼が、ベッドのそばに椅子を置いて腰掛けている。そして寝室のベッドには『サラ』が横たわっていて、まるで第三者視点のように、理樹は彼らが過ごす最期の光景を眺めていた。