告白を続けている現状を迷惑だと思われている可能性については、自分でも考えていたらしい。だから、生徒会長の宮應に出会い頭にそれを指摘された時、感情的に言い返したのだという。

 運動場で勝負があったあと、宮應が保健室に謝罪に訪れ、そんな悩みも全て聞いてくれたのだ、と彼女は語った。今では、タイミングがあえばレイと一緒に三人で、食堂でご飯を食べながら話すことも少なくないらしい。

 なるほど、だからわだかまりもなかったわけだ。

 理樹は話を聞いて、食堂で見た沙羅と宮應、そして話す二人に疑問を抱いていなかったレイの様子を思い起こした。

 つまり今の彼女に、こんな表情をさせているのは自分だけなのだと理解したら、沙羅が先程口にした『子供みたいだと思われて嫌われたら……』という不安事が脳裏を過ぎった。

「――俺だって、冷静でない時くらいはある」

 視線を窓の景色へと逃がしながらそう切り出したら、彼女がチラリと上目を向けてきた。その視線を横顔に覚えながら、理樹は見つめ返さずに「つまり」と独り言のように続けた。