タイムリミットは、部活動の終了を告げる十九時までだ。

 こうして拓斗の計らいで時間を合わせてもらったものの、実際に二人きりにさせられると、どう話せばいいのか分からなくなった。

 つい黙って見つめてしまうと、視線をそらしたままの沙羅が、勇気を振り絞るようにスカートをぎゅっと握りしめた。

「私、色々いっぱいでよく分からなくてなって……自分から避けていたら、日が過ぎるごとに顔を合わせるのが難しくなって、それを知られて子供みたいだって思われて、九条君に嫌われちゃったらどうしようって考たら余計に顔が見られなくて、それで、さっきもパニックになっちゃったんです…………」

 だって九条君はとても大人びているから、と沙羅はまたじわりと涙を浮かべた。泣くのを堪えようとするかのように、制服のスカートが皺になるほど強く握り締める。けれど覚悟を決めてここへ来たのだという顔で、ぽつりぽつりと話しを続けた。