先日、命あるものをもっと描かなければいけないと思ったが、命あるものは、たくさんありすぎて、どれを描くかすごく悩んでいた。
アリスが生きていれば、すぐにでも描くのだが、残念ながらアリスはこの世にいない。自分の心の中にあるアリス像は、記憶と愛情でしかない。それは一番尊いものであるけれども、一番難しいものでもあった。それにアリスの実際の足の付け根部分まで覚えているかというと、それは無理というものだった。完成した絵を作るまでには、習作は必要だった。
生きている姿の習作をたくさんしなければならない。命を絵の中に封じ込めるためにはどう描いたらいいか、今の私が学ばなければいけないことはそれだった。絵の技術よりも、命あるものをよく観察する気持ち。愛情を持ってそれらを見つめること。一番大事なことはその点なのだと思った。
ともかく生き物を観察しよう。観察するのだったら、やっぱり動物園だろうか。いろんな体型の動物達もいることだし、ひとところでたくさんの動物を見られるのは動物園ならではだろう。そこで私は電車を乗り継いで、早速動物園へと足を踏み入れた。