でも……。
『ううん、僕この絵の方がいい!』
『一之瀬さんの絵は、模写ではなく、コロの本質、魂を描いているような気がするんです』
健太君や美香さんの言ってくれた言葉が、ふと蘇ってくる。私のような絵だって、誰かに伝わっているのだ。だったら、だったら私も小林さんのように自由に大胆に考えてもいいのではないだろうか。もっと自由に発想できたら、きっと何かが見えてくるに違いない。でもその何かが、何なのか探さないといけないのだ。それはどうやって探せばいいのか……。
「分からない」
私はいつのまにか声を出していた。すると松林教授と小林さんが、こちらを振り返った。
「何が分からないの?」
素早く小林さんは訊いてきた。私はとっさにこんなことを言っていた。
「そのモチーフをうまく調和させるのが分からないと思ったの」
「まあ確かにちょっとコツがいるかもしれないが、そんなに難しくないよ、一之瀬さん」
松林教授も、柔和な笑みを浮かべながら、私を安心させるように声をかけてきた。
「さあ、一之瀬さんも、もうちょっとこっちに来てモチーフの位置を決めよう」
二人に言われ、私は二人の間へと入って行った。松林教授も小林さんも穏やかな瞳で話している。自信に満ちた彼らの肩に、少しでも並ぶことができたら。そんなことを考えながら、彼らの隣にそっと立った。
『ううん、僕この絵の方がいい!』
『一之瀬さんの絵は、模写ではなく、コロの本質、魂を描いているような気がするんです』
健太君や美香さんの言ってくれた言葉が、ふと蘇ってくる。私のような絵だって、誰かに伝わっているのだ。だったら、だったら私も小林さんのように自由に大胆に考えてもいいのではないだろうか。もっと自由に発想できたら、きっと何かが見えてくるに違いない。でもその何かが、何なのか探さないといけないのだ。それはどうやって探せばいいのか……。
「分からない」
私はいつのまにか声を出していた。すると松林教授と小林さんが、こちらを振り返った。
「何が分からないの?」
素早く小林さんは訊いてきた。私はとっさにこんなことを言っていた。
「そのモチーフをうまく調和させるのが分からないと思ったの」
「まあ確かにちょっとコツがいるかもしれないが、そんなに難しくないよ、一之瀬さん」
松林教授も、柔和な笑みを浮かべながら、私を安心させるように声をかけてきた。
「さあ、一之瀬さんも、もうちょっとこっちに来てモチーフの位置を決めよう」
二人に言われ、私は二人の間へと入って行った。松林教授も小林さんも穏やかな瞳で話している。自信に満ちた彼らの肩に、少しでも並ぶことができたら。そんなことを考えながら、彼らの隣にそっと立った。


