私がそんな考えにとりつかれている時、成美と理恵は二人でずいぶんと理恵の彼氏について話していた。それから成美の理想の彼氏像など、二人はああでもない、こうでもないと語っていたが、私があんまり会話に加わってこないことに気づいた理恵が訊いてきた。
「大丈夫? ひょっとして飲み過ぎた桃子?」
心配そうに眉をひそめている理恵に私は言った。
「ううん、全然大丈夫だよ。まだまだ飲めるくらいだもの」
それは本当だった。ちょっとは酔ってはいたけれども、アルコール的にはどちらかといえば、強い方だった私にしてみれば、まだ平気なくらいだった。
「何かあった?」
私の顔をのぞき込んできた理恵の瞳は、今度は本当に心配そうな瞳だった。それはアリスが亡くなった時に、私のことを心配して何度も家にやってきてくれた幼い頃の理恵の瞳と、なんら変わらないことに気づいた。遠くにいってしまった理恵が、またちょっと戻ってきてくれたそんな感じだった。
「そうだね。いろいろあるような気がする」
私がそう言うと、
「じゃあ、今私達に話しなよ」
「そうよ」
二人は熱心に訊いてきたけど、私は、きっぱりと言った。
「今日はやめておくよ、また今度の時話すね」
「ほんと? じゃあ電話でもいいからね」
理恵と成美は、にっこり笑って答えた。
確かに壁はあるかもしれない。私の世界は小さくて狭いかもしれない。それでも私にだって悩みはあるのだ。それと同じように大人っぽい彼女達にも悩みはあるのだ。それは共通の悩みではないけれども、昔一緒に過ごした記憶と見えない心のつながりが、私達を結びつけ、いつまでも友としてやっていけるのかもしれない。
最後にもう一杯、桜の姫を作ってもらい、私達三人はもう一度乾杯した。三人のこれからの未来を祝福して。
「大丈夫? ひょっとして飲み過ぎた桃子?」
心配そうに眉をひそめている理恵に私は言った。
「ううん、全然大丈夫だよ。まだまだ飲めるくらいだもの」
それは本当だった。ちょっとは酔ってはいたけれども、アルコール的にはどちらかといえば、強い方だった私にしてみれば、まだ平気なくらいだった。
「何かあった?」
私の顔をのぞき込んできた理恵の瞳は、今度は本当に心配そうな瞳だった。それはアリスが亡くなった時に、私のことを心配して何度も家にやってきてくれた幼い頃の理恵の瞳と、なんら変わらないことに気づいた。遠くにいってしまった理恵が、またちょっと戻ってきてくれたそんな感じだった。
「そうだね。いろいろあるような気がする」
私がそう言うと、
「じゃあ、今私達に話しなよ」
「そうよ」
二人は熱心に訊いてきたけど、私は、きっぱりと言った。
「今日はやめておくよ、また今度の時話すね」
「ほんと? じゃあ電話でもいいからね」
理恵と成美は、にっこり笑って答えた。
確かに壁はあるかもしれない。私の世界は小さくて狭いかもしれない。それでも私にだって悩みはあるのだ。それと同じように大人っぽい彼女達にも悩みはあるのだ。それは共通の悩みではないけれども、昔一緒に過ごした記憶と見えない心のつながりが、私達を結びつけ、いつまでも友としてやっていけるのかもしれない。
最後にもう一杯、桜の姫を作ってもらい、私達三人はもう一度乾杯した。三人のこれからの未来を祝福して。


