その後、美香さんと健太君は二人仲良く家へと帰って行った。美香さんは、アリスが描かれたスケッチブックをずいぶんと気に入ったらしく、また見せてくださいねと私に言った。そして健太君は健太君で今度はコロも連れて来るんだと言い出した。
「一之瀬おねえちゃんとうちのおねえちゃんでコロの写生会をしよう」
それを聞いた私はさすがに青ざめた。
「美香さんは受験用のデッサンの練習をしないと駄目でしょうから、そんなにのんきにうちに来ている場合じゃないでしょ」
それとなく、そうならないように言ってはみたけれど、美香さんは楽しそうに答えた。
「受験用のデッサンばかりじゃ、息が詰まります。たまにはそういうのもいいかもしれません。それに今日のスケッチだって受験用じゃないですからね」
そう言われてしまったら、私も賛成するしかなかった。後日コロの写生会をしようという話になったけれども、あのすばらしいスケッチを見た後で、一緒に写生をするなんて、恐縮してしまう……。同じモチーフで美香さんと描いたら、間違いなく、私の下手さがばれてしまう。
「はあ~っ」
さすがにため息が出てきた。まだ美大生でもない彼女に既に完敗していてどうするというのだろう。
「息が詰まるかあ……」
その言葉で、はっとした。そういえば明日成美と理恵と飲む予定だったのだ。成美はこの間私に言ったことが悪いと思ったのか、同じく高校の同級生だった佐藤理恵に私を誘ってくるよう頼み込んだらしい。ちなみに理恵は高校卒業と同時に社会に出て働き出しているOLだ。今年で社会人三年目に入るというのだから、月日の流れは早いなと思ってしまう。
「一之瀬おねえちゃんとうちのおねえちゃんでコロの写生会をしよう」
それを聞いた私はさすがに青ざめた。
「美香さんは受験用のデッサンの練習をしないと駄目でしょうから、そんなにのんきにうちに来ている場合じゃないでしょ」
それとなく、そうならないように言ってはみたけれど、美香さんは楽しそうに答えた。
「受験用のデッサンばかりじゃ、息が詰まります。たまにはそういうのもいいかもしれません。それに今日のスケッチだって受験用じゃないですからね」
そう言われてしまったら、私も賛成するしかなかった。後日コロの写生会をしようという話になったけれども、あのすばらしいスケッチを見た後で、一緒に写生をするなんて、恐縮してしまう……。同じモチーフで美香さんと描いたら、間違いなく、私の下手さがばれてしまう。
「はあ~っ」
さすがにため息が出てきた。まだ美大生でもない彼女に既に完敗していてどうするというのだろう。
「息が詰まるかあ……」
その言葉で、はっとした。そういえば明日成美と理恵と飲む予定だったのだ。成美はこの間私に言ったことが悪いと思ったのか、同じく高校の同級生だった佐藤理恵に私を誘ってくるよう頼み込んだらしい。ちなみに理恵は高校卒業と同時に社会に出て働き出しているOLだ。今年で社会人三年目に入るというのだから、月日の流れは早いなと思ってしまう。


