「新婦、アンジェリカ・スハロウズ入場!」
式場の前に辿り着くとそんな言葉と共に扉が開く。
嫌々父のエスコートを受けて、白薔薇の花弁が舞う赤いカーペットの上を歩く。その先には神父と思しき方と、今日初めて会うわたくしの旦那様が立っていた。
初めて会ったのだから、当然実物を見るのも初めてだけれど……本当に仮面をつけているわ。こんな場でも仮面をつけているわ。
そんな物珍しさと好奇心からじっと辺境伯様を見つめていると、鬱陶しがられたのかふいっとそっぽを向かれてしまった。
そして始まる結婚式。長々と神父が文言を口にしているのを退屈に思いながら聞いていると、ようやく終わりが見えて来て。
「新郎、新婦共に相手に生涯の愛を捧げると誓いますか」
神父の言葉に、わたくしは「誓います」と短く答えた。少し間を置いてから辺境伯様も「……誓います」と一言。その一言だけでも辺境伯様の声がたいへんよろしい……というか、蠱惑的な声だと分かった。
素顔が見えずとも、辺境伯様はそのお声一つで、妹によって招待された見ず知らずの令嬢達を虜にしていました。これが世にいうイケボとやらなのでしょうか。
式場の前に辿り着くとそんな言葉と共に扉が開く。
嫌々父のエスコートを受けて、白薔薇の花弁が舞う赤いカーペットの上を歩く。その先には神父と思しき方と、今日初めて会うわたくしの旦那様が立っていた。
初めて会ったのだから、当然実物を見るのも初めてだけれど……本当に仮面をつけているわ。こんな場でも仮面をつけているわ。
そんな物珍しさと好奇心からじっと辺境伯様を見つめていると、鬱陶しがられたのかふいっとそっぽを向かれてしまった。
そして始まる結婚式。長々と神父が文言を口にしているのを退屈に思いながら聞いていると、ようやく終わりが見えて来て。
「新郎、新婦共に相手に生涯の愛を捧げると誓いますか」
神父の言葉に、わたくしは「誓います」と短く答えた。少し間を置いてから辺境伯様も「……誓います」と一言。その一言だけでも辺境伯様の声がたいへんよろしい……というか、蠱惑的な声だと分かった。
素顔が見えずとも、辺境伯様はそのお声一つで、妹によって招待された見ず知らずの令嬢達を虜にしていました。これが世にいうイケボとやらなのでしょうか。