少し寝ておきなさいという紅亜嬢の提案に、真紅嬢は大人しく従った。

本当に眠かったのだろうと、枕元のカゴで丸くなった涙雨は考えた。

今日は土曜日で、学校とやらは休み、真紅嬢は特にぶかつというものはやっていないということだ。

黒の若君や白の姫君は陰陽師という性質上、夜に強いが、真紅嬢は普通の人間として生きてきたのだ。

……縁(ゆかり)殿……仕組みおったな。

真紅嬢と黎明の子どもの予期せぬ再会。仕組んだのは、黒の若君の式の一である縁殿だ。

縁殿はその名からわかるように、縁(えにし)の妖異だ。

人と人との『えにし』を繋ぐ妖異。あるいは、絶つ妖異。

真紅嬢と黎明の子どもの再会は、縁殿の――もっと言えば主である黒の若君の企みだろう。

……まったく。何回か死ぬかと思うたぞ。

こっそり主に毒を吐く。

涙雨とも顔見知りである黎明の子どもは、涙雨に容赦なんかしない。二回ほど潰されかけたぞ。

………。

涙雨の主は黒の若君だ。今は、黒の若君の命で真紅嬢の護衛をしている。

……真紅嬢の力は、徐々に開花しつつある。

先ほど、黎明の子どもに調子の悪そうなところはなかった。真紅嬢の血に退鬼されていないと考えられる理由は三つ。