何故だか顔が熱い。いや、そんな告白みたいな言葉を簡単に吐く奴がいるか。普通に恥ずかしいだけだ。嬉しいわけなんかじゃない――

「生きる理由がないならさ、俺を理由にしろよ」

「………」

「俺に血を与える、主にならないか。お前がいるから俺は生きていられる。それを、真紅が生きて理由にすればいい」

「何で、そんなこと――」

「んー、真紅の血が美味しかったから?」

ち? 血が、美味しかった……? ……それだけ? と言うか、血が美味しいから死なせたくないって、私はエサか?

ぶちいぃっ!

「消えろ変態!」

窓から投げ飛ばしました。

火事場のバカ力ってすごい。

「何なんだ、あいつは……っ」

ぜえぜえ息をして、とりあえず現実を取り戻すために何かしようと考えた。着替えようか、お腹が減っているようだからご飯を食べようか、それとも――あ、まずは服を替えないと。血まみれだって銀の人が心配してくれていたんだ。それから、貧血状態だから早く寝ないと――。あれ? そう言ってくれたのは……?

「………」

首元に手を当てた。続いて、肩口にも。

熱い。一瞬、焼けるような痛みが走った。――確かにここには傷があった。

「………ほんとうに……?」

助けてくれた?

………。

何で自分は眠ってしまったのだろう。ちゃんと起きて、出来事が夢である可能性もないと思える頭だったのなら、総てを信じられたかもしれないのに。

血、が、

  あなたをもとめている。

 あの、こっ恥ずかしいことを平気で言ってしまう――

 違う。

    あなたの息が、私の血を――