「それでは、お蓋を閉めさせていただきます」


 みんなの顔に光る涙の粒が、あのときの星のようにきらきら光って見えるよ、なんて言ったら。


 今度はわたしが「キモい」「柄じゃない」ってみんなから笑われてしまうだろうか。


「さっき、お棺に何入れたんだ? 陽太」


「うん、王様ゲームのリベンジ」


「なんだよ、それ……」


「相変わらず変なやつだなお前……」


 級友たちが小さく笑ったのを感じる。


 そう。それでいい。


 ただでさえ湿気が多い季節なんだから、湿っぽく送り出されるのなんか、絶対嫌なんだ。


 だから笑っていて。そうやってみんなで。


 これはきっと、わたしが幹事で開く、最初で最後の同窓会だ。


 
 ――どうか。


 どうかお星様。


 今夜、これから流れるはずのその星に。わたしはフライングで願いをかける。


 生きているときは一度もしたことのないその行為に、全身全霊の思いを込めて。


 もう、わたしには数を打つことはできないから。




 どうか、ここにいるみんなの未来に、あの頃と同じく、いいえそれ以上に。


 たくさんの、きらきら輝く星の光のような幸せが、降り注ぎますように。




 わたしは最期にそう願い、そして永遠にこの目を閉じた。




〈了〉