今日、届いた瑞季の手紙は、少し文字が滲んでいた。そして、いつもにも増して字が弱弱しくなった気がする。着実に病魔に侵されている証拠だ。
今回の写真に写る花は、前に撮っていたらしい月下美人という花だった。この花は夜に咲き、一晩で萎んでしまうんだとか。
「やっぱり、会いに行こう―—」
俺はそう決めて便箋を取り出した。けどやっぱり文面で自分は千門”周”になっていた千門”巡”なんだ、ということを伝えるのは怖かったし、第一拙い自分の文章でこのことが伝わるとも思えなかったので、それは会った時に伝えることにした。
「拝啓 瑞季様。立春を過ぎ、本格的な春の訪れが待たれる次期となりました。いかがお過ごしですか?体調の方は落ち着いた?俺は、もちろん元気だし、そろそろ忙しさにも一段落つきそうだから、瑞季に会いに行きます。春休みに行くね。手紙の返信で病棟と病室の名前教えてくれると助かる。絶対、会いに行くから待ってて。あと、何か持ってきてほしいものある?できる範囲で準備しとく。会えるのを楽しみにしてます。
敬具 千門巡」
俺は書いた文章を何度も見直し、また郵便局に向かった。そしていつものようにポストに手紙を入れた。
瑞季ってどんな感じなんだろう。考えただけでなんていうか胸が締め付けられるような。もうこの感覚に陥ってから半年は経つ。
俺ってやっぱり、瑞季のことが―—。